ようやく昼間は20度を超えるようになった、意外と寒いサバデイより、今日も徒然を。
あ、まず、誰か気にしてるか分かりませんが、先日、異国での美容院チャレンジの結果。
バルセロナ!!〜サバデイ日記・番外編 - mezzosoprano 鳥木弥生blog
こんな感じになりました!
しかし、これは美容師さんのドライヤーテクニックをもってして出来上がったものでして...現在はなんかギタリスト(男性)みたいな髪型...。うーん、どうしようかな(笑)。
そんな私の頭の中に流れるのは、ベッリーニのオペラ《夢遊病の女》より、”Ah! non credea mirarti”の中のこのフレーズ、
Che un giorno solo...ah, sol duro'...
それは1日しか...ああ、続かなかった...
さて、昨晩は私達の《蝶々夫人》、10回公演の折り返し、6回めの公演がManresaのKursaalにて。
こちらが劇場。
ちらっと早めについたので、サバデイにもある生ハム専門店「IBERICUS」で小腹を満たし。
イベリコ豚くんのごはん、ドングリ模様が床に!
舞台の方はいつもの通り大成功。
つくづく、《蝶々夫人》。本当に人気演目なんですねえ...。私は観るなら他のを観たいけど(笑)
帰国したら原作を読んでみようと(今更...)思いますが、なんか、話が分かりやすすぎるのかな?私の好みからすると。
でも演じている分には大好きなんです。
あ、昨日は久しぶり(中4日)だったので少し心配だった「花の二重唱」がとってもよい感じで、嬉しかった〜。
スズキ的にはもちろん「花の二重唱」も盛り上げよう、と集中が増す部分ですが、もう一曲、ここは盛り上げなくては!と、私スズキが密かに張り切っているのが、何を隠そう、アリア「ある晴れた日に」です。
Un bel dì, vedremo...
と、始まる、あれです!スズキは歌いません(笑)
が、実は、あのアリアはスズキの為に歌われているのです!
......私はそう信じています!!
蝶々さんとピンカートンの結婚式から初夜が描かれる1幕。それから3年後の2幕。
ピンカートンはもうとっくにアメリカに帰り、蝶々さんとのことはすっかり過去の思い出なわけですが、蝶々さんは変わらず彼を待ち続けています。
スズキはさすがに彼は帰ってこない可能性もあると思っていて、生活には困っているけど、だからといって蝶々さんがまた芸者になるのは嫌だし、蝶々さんが嫌っているお金持ちのヤマドリとの結婚などもっての他...もう、祈るしかない気持ち。(私の解釈では。たぶん皆さん色々)。
心から彼が戻ると信じている風に振る舞う蝶々さんに、スズキは不安からついつい忠告のような物言いをしてしまったり、ついには泣き出してしまう。
そんなスズキに、より強くて、よりユーモアに溢れる蝶々さんが、スズキを励ますために歌うのが「ある晴れた日に」。
もちろん、蝶々さん本人も本当は不安で、自らも励ますために、という解釈が自然ですが。
スズキ、という相手がいるからこそ、ちょっとウィットに富んだ言葉も交えながら自分の信念を語るのだと思うのです。
《蝶々夫人》のストーリーは単純すぎて好みではないのですが、「ある晴れた日に」の歌詞(他にも何箇所かの歌詞は)とても好きです。
たぶん、原作がいいんでしょう(笑)。
せっかくなので訳してみました。
蝶々さんがスズキに語りかけているイメージで読んでくださいませ。
ある晴れた日に、私たちは見るでしょう......水平線のずっと向こうに一筋の煙が上がるのを
見える?来たのよ!
でも私はお迎えには行かない、行かないの
あそこの、丘の端に立って待つわ
ずうっと待つの
待つのはもう平気だから......どんな長い時間でも
そして街の人混みからひとりの男性が、小さな点みたいに出てきて、丘に向かってくる
誰?誰かしら?
ここにみえたら、何を言う?何を言うかしら?
......呼ぶのよ、「蝶々さん」て、遠くから
でも私は、応えずに隠れているでしょう
ちょっとふざけてだけど…でも、ちょっと...
もしもいきなり彼に会ったら、死んじゃいそうだから
そしたら彼は少し心を痛めて呼ぶの
呼ぶでしょう、私を......美女桜の香りがする小さな奥さん、って、出会った時につけてくれた呼び名で
これが全部これから起こることだって、お前に約束するわ
お前は心配でもしてなさい
私は、絶対に信じて、彼を待つから
私の蝶々さん、ミキさんは、本当に語りかけるように歌ってくださいますので(女中っぽさが染み付いてる。笑)、自然に心のままに受けて演技できるのですが、実は2箇所ほど、心の中では違う反応をしながら、これはやっちゃだめだろうなー、と我慢して違う演技をしているところがあります!!
ひとつは前半、
待つのはもう平気だから......どんな長い時間でも
イタリア語だと、
e non mi pesa...la lunga attesa
って部分。
「3年も彼を待ち続けている蝶々さんを痛ましげに見つめる」または「辛くなって目を反らす」、ていうのが舞台でやっている反応なんですが、頭の中では、
「蝶々さん、ナイス自虐!!」
「確かに待つの得意だもんね〜!!よっ!お家芸!!」
みたいなツッコミが渦巻いています......。
そしてもうひとつは、音楽的にもインパクトがある、
もしもいきなり彼に会ったら、死んじゃいそうだから
イタリア語だと、
per non morire al primo incontro
ってとこです。
ここはとりあえず今回は「morire(死ぬ)という言葉に反応して驚いて立ち上がる」という段取りに(笑)なっているのでそうしていますが、実は、
「あー、それ、あるよねー......」
と、スズキ母ちゃんは、めっちゃ女子っぽく(笑)、自らの甘酸っぱい記憶を呼び覚ましているのでした。
死ぬ、は大げさですが、大好きな相手が目の前に現れるか、現れないか、あちらからも見えたか見えないか、みたいな瞬間に、何故か背中を向けたり、隠れてしまいたくなるような気持ち。
そんな、すっかり遠く忘れかけていた青春の記憶を「ある晴れた日に」の歌詞、そしてミキさんの、毎回初めて聴くような初々しい歌が思い出させてくれるんですねえ......。
一回やってみようかな、
「あ、それ!わかるわかるー!!」
て、演技(笑)。
そのあと、どうやって始末つけたらいいか分かんないけど。
勇気ある演出家の方がいらっしゃったら、ぜひ、ツッコミ系スズキ、やらせてください(笑)。
さて、あと4回!!明日はバルセロナ空港の近く、Viladecansでの公演です。
4日間のお休みの後、またメイクが変わった(笑)。ちょっとエジプトの風を感じた。#蝶々夫人 #madamabutterfly pic.twitter.com/eEKU3qLd3r
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年5月4日
#蝶々夫人 #カタルーニャロード 劇場への送り迎えをしてくれるセニョール・シャビエルがかなりのスピード狂。無事アパートに帰りついて、いつもの3人で「生きててよかったね」のセルベーサ。#サバデイ日記 pic.twitter.com/odMn3C2xCZ
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年5月4日