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mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

想い出のアリア。藤原歌劇団創立80周年記念コンサート

出演情報 《オペラ》について。 イタリア語
アリアって何?て方はこちらなどを。


http://m.kotobank.jp/word/アリア?dic=sekaidaihyakka

私達オペラ歌手は、キャリアを始めるにあたり、少なくとも数曲、上手に、魅力的に歌える、おハコ的なアリアを幾つか持っているものです。
もちろん、どっぷり?オペラ歌手になってからでも、コンサートなどではアリアだけを取り出して歌うことも多いので、「お得意のアリア」は常に必要!

ちなみに、イタリア語では、おハコのことを、
Cavallo di battaglia(カヴァッロ ディ バッターリア)
と言い、戦いの為の馬、必勝の名馬、という意味。
日本語のおハコ、18番、に比べて熱いです!!
これを何頭所持しているか、どれほどの名馬で、どのように乗りこなすかが、腕の見せ所。


さて、先日より積極的に広報しております演奏会。

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よろしければご覧ください↓


こちらで私が歌ううちの一曲が、

オペラ《ラ・ファヴォリータ / La Favorita(寵姫)》
の中で、レオノーラ/ Leonora(役名)が歌う
「ああ、私のフェルナンド / O mio Fernando!」

というアリアです。

私がこのアリアを最初に歌ったのは確か大学2年生の時で、19歳でした。試験で歌ったのかな。

レパートリーを考える場合、「役全体が歌えないのであれば、アリアだけ取り出して歌えても意味がない」という意見もあり、それに即すると、学生がこの曲を歌うのなんて全くの無意味なんですが......。

当時は「かっこいい曲〜」くらいに思って喜んで歌っていました。

あとは、姉が大ファンで読んでいた青池保子さんの「アルカサルー王城」が、このオペラ《ラ・ファヴォリータ》のストーリーの少しあとから始まるお話で、
「このアリア歌うレオノーラってこの人だ〜!わー、脇役ー!悪役ー!」
なんていうことも見つけ、歴史へのスポットライトの当て方も様々だな、と感心したりもしました。

アルカサルー王城ー 1 (秋田文庫 20-27)

アルカサルー王城ー 1 (秋田文庫 20-27)



その後、大学4年生のときに私の音楽の母、オブラスツォワ先生とまた勉強し、私達の間では、この曲の途中、あるひとつの音が、「ヤヨイが初めて自分の声を見つけた場所」と認識されています。
詳しく言うと、「...come il perdono...」という歌詞の、「i」のとこですので、もし「あ、それ、私も〜!」というお仲間がいたら是非ご一報下さい。......いたらすごいな(笑)。

そういえば初めて作ってもらったドレスも(当時、あまり安価でデザインの良いドレスが今のようにはなく、作ってもらう方が買うより安かった!)、このアリアのイメージに合わせて生地を選んだりしたので、学校以外で人前で初めて歌ったアリアもこの曲だったのかも。
若者にしては地味な、ダークグリーンに黒の地模様のドレスでした。


それからも様々な場所でこのアリアを歌いました。

イタリアに行って、この役、この曲がどれほど偉大かというイメージを掴んでからは逆に歌いにくくなったりもしました。
スペインでは、変なカット(曲の短縮)をして歌えと言われて主催者と大ゲンカしたり。


ある時期は、アリアの出だしの、ミー ソーファ ミーソファミ...というあまりにもシンプルな音形に腹が立ってきて(笑)、「ベッリーニに比べたらやっぱ、ドニゼッティはいまいちじゃない?ミーソファミーソファミ、て、なんやそれ」
みたいな意味不明の因縁をつけて、ドニゼッティ大好きな先輩歌手を怒らせたり。

再び聞いてみますが、「私も〜!」てメゾソプラノ仲間、いませんか?

あ、あと、アメリカで会ったブラジル人がフェルナンド、て名前だったので、自分がオペラ歌手で、
「O mio Fernandoっていう素敵なアリアがあるんだよ」
と話したら、彼は英語を解さず、曲名部分だけを理解したので(「ああ、私のフェルナンド」です。笑)、なんだか勘違いが生じたりもしたなあ......。


そんな想い出のアリア、帰国、出産してからは風呂場でしか歌っていない気がする...。
かつては中々相性の良い「戦いの馬」でした。
久々の乗り心地はどうかな?

母ちゃん、負けないよー!!