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mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

ヴェルディ《ドン・カルロス》フランス語5幕版を鑑賞♪

先週土曜日。
東京芸術劇場に、佐藤正浩さん指揮、佐野成宏さん主演のヴェルディドン・カルロス》フランス語5幕版を聴きに行きました。

そうそう上演される演目ではなく、フランスにいたわりには?この版の実演に触れるのは初めてでした。

15時開演、20分ずつ二回の休憩を挟んで終演が19時半だったので、確かに長いといえば長いかも?
でも、4幕版、イタリア語版で感じるちょっとした物足りなさ、不自然さが、蒸気掃除機を使ったごとくにジョワーッと気持ち良く払拭され、かたく結ばれていた謎がスルスルスルスル解けて行くような、快感の4時間半でした!


佐野さんはイタリア語カルロもぴったりはまり役ですが、今回、イタリアンなテクニックをふまえた上でのフランス語歌唱が、甘すぎず、秘めた情熱を感じることができて、英雄的で、更に似合っていると思いました。

男としてはかなりいらっとさせられる奴ですけどね!!
あ、佐野さんでなく、カルロスね!!(笑)
知らん顔すりゃあ「冷たい」だ「大理石の彫像」だと(笑)。耐えきれず感情を吐露すれば「なぜ愛を呼び覚ますのだ!」みたいな。

 
対してイタリア語版でもかっこよすぎのロドリーグは、更にグンと男が上がっております。

どんなバリトンも歌いたがるあのアリア(笑)。
イタリア語だと言葉のアクセントがなんかナルシストぶりを助長していたり、息長い合戦が耳についたりもするのですが、あら不思議!フランス語だと美しいレガートが語りとが反せず、すんなりと歌詞が心に染み入ります。

泣いたー。

堀内康雄さん、素晴らしかった。
今は亡き師匠によく「チェロのように歌え」と言われましたが、堀内さんのレガートはまさにチェロのよう。

フィリップのアリア、Ella giammai m'amo' ならぬ、Elle ne m'aime pasの前奏のチェロのソロが、ロドリーグの声に聴こえました。

そして、ロドリーグの死のあと、フィリップとカルロスが歌う、後に「レクイエム」のラクリモーザに転用される美しい哀悼の曲があったのですが、東京芸術劇場のパイプオルガン前に堀内さんの姿が3Dで浮かび上がっているのが、私には確かに見えました!!


カルロスとロドリーグ、男同士の愛の二重唱も綺麗だっだなあ〜。あんなに美しく響き合う音楽が、イタリア語版ではなんだかちょっとだけ言葉のアクセントの激しさに阻害されていたんだなあ、と気付かされました。


まあ、フランス語だとあまりにも洗練されすぎていて、何度も聴いていたらイタリア語の少しバタ臭い感じの方が良いな、て、もしかしたら思うかもしれないんですけどね。


ちなみに、今回の公演は私が苦手な、一部暗譜、一部演技付きの演奏会形式でした。

私が好きでないだけで、けっこう多いので皆さん大丈夫なんでしょうけど。

今回も皆様、出入りに関係した部分は暗譜、舞台上で長く歌うときにはあらかじめいくつか設置された譜面台に自分で運んできた楽譜を置いて、と、見事にオーガナイズしてやってらっしゃいました。


でも、楽譜を見る見ないは別にして、椅子と譜面台を置いて、各出演者が少なくとも同じ幕か同じ場の間は定位置について、肉眼で指揮者を見て音楽表現に集中して歌う、という形式の方が美しいと思うんだけどな。
同じ舞台の上で演奏者同士感じ合いながら演奏するだけで、充分劇場的な価値もあるし。


でも今回の形式で、佐藤マエストロが前面のオケと背面の歌手たちを、長身と長い腕を活かしたスペクタクルな指揮で見事に繋いでいたのは、それはそれでとても見応えありましたけどね!
全編の流麗さは言語だけではなく、佐藤マエストロの手腕によるところも大きかったと思われます。

あと、「出て来てしばらく歌って去る」パターンが多い役(ティボーの鷲尾麻衣さんとか、レルマのゴーティエさんとか)は完全暗譜で演技も程よく、とても素敵だったので、彼らの魅力はこの形式の方が良く出てたのかなあ、とも思ったり。


ともかく、何にしても、非常に価値ある公演でした。
魅力、語り尽くせません!
ドン・カルロ(ス)》好きな方でもし聴き逃した方がいたら心から憐れみます(笑)!

ちょっと手前味噌ですが(私の弟子も入ってたので)、武蔵野音大合唱団も素晴らしかった!!


あと、実力派バス歌手百花繚乱(3人だけど)の中、今度チェネレントラでご一緒するジョン・ハオさんも光ってました!
妻屋さん、コロンバーラさん......こんなに魅力的なバス歌手を揃って聴けることはなかなかないですよね。
役入れ替えたらどんなかな、とか、色々妄想してしまいました。


終演後は一緒に演奏会を楽しんだ小川里美さんとかと、芸劇中でベルギービールムール貝

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その後更に《ドン・カルロス》の打ち上げに乱入という......不良母ちゃんな夜でした。

終演ですでに家族の夕食に間に合わない時間だったし、もうお腹も空きまくりで......。
と、言い訳で......終わります!!!