mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

おもかげ。

数日前、某SNSで届いたメッセージ。

はっちゃけた表情の外国人男性で、

Hi, Yayoi!

と始まってる。

名前も怪しい。

一応仮名にするけど、ジャック・オールウェイズラブみたいな感じ。

こりゃ開いたら続きは、

You are so beautiful...なんたらかんたら

っていう怪しいやつだな、と、思いつつも、そういうのは届かない設定になってるはずだしな...しかもなんか気になる顔立ち?

と、思い切って開いてみたら、その先には予想に反して、

私はエレナ・オブラスツォワの孫です。

時間があるときお返事ください。

と、ローマ字で書いてある!!

ロシアの大メゾソプラノ「エレナ・オブラスツォワ」は今年の初めに亡くなった私の師匠。音楽の母。

Don Carlo (1867) O don fatale, o don crudel Sansone e Dalila (1877) Printemps qui commence Sansone e Dalila (1877) Mon coeur s'ouvre a ta voi Sansone e Dalila (1877) Samson recherchant ma pres Carmen (1875)

Don Carlo (1867) O don fatale, o don crudel Sansone e Dalila (1877) Printemps qui commence Sansone e Dalila (1877) Mon coeur s'ouvre a ta voi Sansone e Dalila (1877) Samson recherchant ma pres Carmen (1875)

  • アーティスト: OBRAZTSOVA ELENA (mezzosoprano),CILEA Francesco,MASCAGNI Pietro,VERDI Giuseppe,SAINT SAENS Camille,BIZET Georges,PATANE' GIUSEPPE,PHILHARMONIA ORCHESTRA (orchestra)
  • 出版社/メーカー: OLYMPIA - Inghilterra - MELODIA URSS
  • 発売日: 2010/09/20
  • メディア: CD
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わざわざ彼女の孫を騙って私に連絡してくる人もいないよな、と思いつつ、一応SNSでプロフィール以外の写真を確認すると、確かに17、8年前、彼が日本に来ていた時に会った頃の面影が残る写真もあって。

ちなみに当時彼はたしか9歳(笑)。

一緒にディズニーランドに行ったり、ゲームボーイカラー(画面は白黒)で遊んだりしたような。

モスクワ生まれ、バルセロナ在住の現在27歳。

やはりこれは間違いない、私の新しいブラウスにボールペンで落書きしやがった、あの悪戯坊主!!

サーシャ!?大きくなっちゃって!

と、返信。

今彼が日本語を勉強していることとか、私が東京に住んでいることとか、いくらかのメッセージのやりとりがあったのち、Skypeで話す約束をして。

ついさきほど、やはり昔の面影と、懐かしいオブラスツォワ先生の面影も持った彼の顔を見ながら色々と話すことができ。

彼が昔日本に来たときのことはほとんど覚えておらず、私の名前も、彼が今日本語を習っている先生にオブラスツォワの弟子を調べてもらってメッセージを送ったのだとか。

そして私がサーシャ、と、返信したことで、なぜ小さい頃にしか呼ばれていなかったロシアの愛称を知ってるんだろう?と考えてようやく、私と日本で会ったことや、おばあちゃんがよく話していた「やよい」だ!と記憶が繋がった、と。

あの時自分はバカな子供だったから迷惑をかけたに違いない、という彼に、その通りだよ!と言いたい気持ちよりも、同じようにオブラスツォワの死に対してやりきれない思いを持った彼と話せたのが嬉しかったので、ブラウスの恨みも伝えず(笑)。

Skype越しの、お互いたどたどしい英語(と少しの日本語と少しのロシア語)での会話ながら、たくさん話して、またたくまに時間が過ぎていって。

まるで遠くに住んでる家族のように、また話そうね、元気でね、と通信を終了した今、なんだか不思議な気持ちになりながら、息子の寝顔を眺めてます。

息子にも、大好きだったエレナ先生のこと、忘れないでいて欲しいなあ。

いつかエレナ先生の孫のサーシャが日本に来て、一緒にWii Uで遊んでくれると思うよ。



今週のお題「一番古い記憶」