mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

《蝶々夫人》ピアノ・ヘネラルの朝〜サバデイ日記6

初日10日前!

稽古予定に「GENERAL」とあって、え?もう??と、ちょっと焦りましたが。
ピアノによるジェネラーレ(こちらではヘネラル。なんか可愛い。笑)、まあ「通し稽古」ですね。

これで、明日一日お休みで火曜からはオーケストラが入り、GPまで6回の稽古。
オーケストラ付きで6回稽古というのは、日本の状況と比べるとなかなか贅沢。
むしろやり過ぎなのでは?という気までしてきます(笑)。

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こちら、合唱の方々が使っている扇子。スペイン風のアバニコと混在。

その他、諸々スペイン風なところがある今回の《蝶々夫人》ですが(笑)、元々ヨーロッパから見たファンタジーとしての日本が舞台のお話だと思うし、私はぎっちりかっちり和風よりむしろ正しいんじゃないかなあ、なんて思います。

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芸者役のスペイン女性たち、後ろの方にチラ見せ。魅力的ですよ!

歌詞がちょっとスペイン語訛りなのは許容範囲なのかどうか分かりませんが!?


しかし、日本語訛りや英語訛りよりは聞き取りやすいのは確かです(笑)

私以外、唯一の日本女性、蝶々さん役の三記さんもバルセロナ在住で、流暢すぎるほどのスペイン語を話します。

ペネロペ・クルスみたいで羨ましいです(笑)。

後ろ姿もどこか日本人離れ(ペネロペ・クルス寄り?)していると思うのは気のせいでしょうか?

8年前もご一緒して、その女優っぷりが衝撃的でしたが、昨日の稽古の時に「最近は毎回同じようにやる努力をしている」とおっしゃっていて、ブンブンに振り回されるのが快感だったスズキとしてはちょっと寂しくなりました。

でもたぶん嘘だから大丈夫(笑)。


オペラ歌手としてあるべき演技、持つべき演技力については、けっこういつも考えてしまうんですが......


いい役者の方のそばに寄ると、わーっ、と、その世界に包まれるのを感じます。
そばにいると自分まで上手くなったような気がして(笑)、離れたとたん支えがなくなったようでアワアワしたり!

あんまり書くとご本人が恥ずかしがり屋さんで、怒られちゃいますが(読まないでー)、三記さんはその「わーっ」と出てるものが、特に柔らかくて、周囲と呼応して、常に交換が行われている気がします。
自分が絶対こうやりたい、とかではなく、キャラクターは確立しているけど、あとはその時の舞台の空気の中で、その都度あるべきところにある、みたいな。
だから毎回違うとはいえ、行き当たりばったりではなく、ものすごく冷静。
本人は「何にも考えてない」と言うでしょうが、本当に、考えているわけではないんでしょうねえ(笑)。自然にそうなるんでしょう。

あ、なんか演技、演技、書いてますが、歌は当然良いのです。声も素晴らしい。いい声で余裕があるから演技も自然なのか、演技力があるから歌も上手いのか、ニワトリが先か、卵が先か、みたいな話かな?違うかな?(笑)

なかなか見習うのは難しいですが、「考えちゃう私」として、彼女を遠くから見たときに分析して(たぶん本当に怒られちゃいますが。笑)、これは言えるかな、という3点を。

1.どこか見てるようで、どこも見てないけど、実は全部見えてる目。耳もしかり。

2.やりはじめたことは必ずやり遂げる。

3.肩甲骨が柔らかくて、背中が綺麗。


特に3が、私には難しい!人に後ろを見せたくない(笑)。
前から見たら一応スズキでも、後ろ向くとトリキに戻ってるなあー、と我ながら思うことが多々。
結局いつも衣装(と演出家の采配)などに助けていただいてなんとか...というパターンかも...。

しかし、前向きに!!(あれ?後ろ向きを頑張る話だっけ)。

この後もまだまだスズキを演じる機会があるし、今回の10公演の間にひと皮むける気マンマンなスズキ(トリキ)母ちゃんです。