mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

劇場迷子。想いで迷子。〜サバデイ日記15

蝶々夫人》公演、5回目めを無事、素敵な川の流れるリェイダの街にて終了!

2幕と3幕の合間に、私の蝶々さんがため息混じりに言いました。

まだ5回め?もう10年やってるみたい...

確かに。一晩につき舞台では3年経ってますので、10年どころか15年やってますよ!

そんな13〜15年めの会場、リェイダのLlotja劇場。また発音が難しいのですが(笑)、確かリョッジェ。ジェ、とジャ、との間くらい。

前回のレウス、フォルなんとか劇場とはうって変わってモダンな大劇場!

カタルーニャロードの始まりと、これから。〜サバデイ日記14 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

こちら外観ですが、大きすぎてかなり遠くからでないと全貌は撮れないので、一側面のみ。

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だだっ広いホワイエ、長い廊下、なぜかピンクに染められた入り口。

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客席、舞台はこんな感じで、キャパは1000くらい。

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舞台裏から楽屋がまた遠くて...。

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袖からしばらく歩くと「楽屋あちら」の案内。向こうに見える扉を開けると...

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階段。

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上みたいです。登ります。

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また扉。開けると...

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また扉。

なんだか、昔はまったミストというゲームを思い出してきました。

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扉を開けると長い廊下。

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矢印が2つ...こっちか?

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正解!無事到着!!

この道筋を本番中は着物で何往復かしたわけです。

さらにこんなことも。

開演前に10分くらいトイレで叫んでいたそうですが、幸い舞台への出そびれなどはなく。

あのシーンで、もしボンゾが出て来なかったら??と想像してミキ蝶々さんと後から散々笑いました〜。

怪優歌手のミキさんがそれをどうやって乗り越えるか、ちょっと見たかった気もします(笑)。


さて、5回めの公演は大きい会場ながら客席とのコミュニケーションをよく感じられ、またいっそう盛り上がりました。よりドラマチックだった、良かった、と、5回とも観ているサバデイの劇場支配人の夫君にも言っていただけたので安心して告白すると.......私はなんだか、歌いながら、演じながら、色んなことが頭の中に渦巻く日でした。

集中していないわけではなく、むしろいつもより色々タイミングがバッチリだったり、本当に涙が流れたりもしたんですが、そんな自分や周りを冷静に見て、感じながら、何故か面白いこと(カツラが取れるとか)を想像してしまったり、思い出したり(稽古中の変な間違いとか)...。

そんな諸々な雑念を思い浮かべている自分が、いつも通り演じている自分を少し離れてみているような感覚になって、ひとつ気が付いたことがありました。


私のスズキにはモデルがいる!

それは、他の歌手のスズキなどではなく(実はプッチーニ好きじゃないし、あんまり蝶々夫人観たことない)、スズキっぽい女優さん?などでもなく。


彼女の名前はマリアンナさん

はい。日本人ですらありません(笑)。

彼女は私の師匠、オブラスツォワの従姉妹で、師匠が来日する際にはほぼ毎回一緒に来て、身の回りのお世話などをする方でした。

料理上手で優しくて、頭が良く(確か職業は会計士と数学の先生)、もの静かでキリッとして、でもどこか抜けていて、感じが良く。

彼女がどこかの国にオブラスツォワについて行って、オペラの稽古を堪能しすぎて劇場に一晩置き去りにされた話は、ボリショイ劇場で同じく置き去りにされそうになった私としては親近感湧きまくりでした。

背がすごく高く、まあ、ロシア人にしては普通なのかもしれませんが、180センチくらいかな。

よく一緒に江古田の家(実際は武蔵野音大宿舎)や、サンクトペテルブルクの家でクロスワードをして遊んだりしました。私はオペラ関係か神話系か、日本関係しか役に立ちませんが、意外とたまに(笑)あって。

オブラスツォワは、「マリアンナはつまんない!すぐメソメソするし、恋の話もできない!」(ずっと独身で恋人もなく、そのへんはミステリアスなマリアンナさん)、なーんて言ってましたが。でも2人は仲良しで。

たまに他の人と一緒に来日するとイライラが多くなったりもするところ、マリアンナさんだといつも落ち着いているので、私も助かりました(笑)。


そんなわけで、なんと!

私の「蝶々夫人×スズキ」のイメージは、「エレナ・オブラスツォワ×マリアンナさん」なのでした!!!

いや、オブラスツォワは絶対に3年も黙って待ってたりしませんけどね。

弟子の私がわざわざ日本から来ているときに、シベリアに恋人に会いに行っちゃったりしてましたからね!

どこまでいくの?て聞いたら「ちかくGiappone, casa tua(日本のあなたの家のちかく)」って。確かに、シベリア、能登半島に近付いてますけど。

常にトンチが効いた、面白い人でした。

それに比べると、まあメソメソとは言わないまでも確かに大人しいし、少し涙もろいマリアンナさんでしたが、逆にオブラスツォワが悲しんでいたりすると、少し離れてしっかりと見守っているような、必要とあらば近寄って手を握るような......。

ボリショイの指揮者だったオブラスツォワの旦那様(2人は日本の九州で恋に落ちたのです!)の具合が悪くなったとき。亡くなったとき。またその思い出を語るとき......。オブラスツォワの話を隣でうんうん、と聞くマリアンナさんの姿を思い出します。

旦那様、アルギスさん。

エレナ、その瞬間がいつ来るかは分からないけど、これは死だ。死がここにある

と言って、それからしばらくして亡くなったとか。カッコイイ人だったなあ...。


あれ?シベリアに恋人に会いに行った話は、旦那様が亡くなったあとだよね?うん、そうです!かなり後。良かった。びっくりした(笑)。

弥生、恋には距離は関係ないのよ!

って、カッコイイんだか何だか分からないこと言って。しかも誰かに頼んでプライベートジェットで飛んで行った気がするよ...。絶対蝶々さんじゃないねー。

まあ今は天国から、好きな時に好きなところに飛んで行ってるでしょう。

たまには私にも会いに来てるかな?

ていうか、今かな?こんなに思い出してるし。

エレナ!プリヴェート!!

マリアンナさんは元気かな?

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たまたま持ってきた手帳に挟まってた古い写真たちの中に、マリアンナさんもいました!一番手前です。これは、浜松の同級生(私の後ろにいるマアコ!)に連れて行ってもらったうなぎやさんだ〜。

美味しかったなあ!懐かしい。うなぎ食べたい(笑)。


さてさて、次回の《蝶々夫人》公演、折り返し6回めは5月4日。

マンレーサという街に行きます!

Kursaal - Madama Butterfly