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mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

ロミオとジュリエット。ヴェローナの街で、2人はなぜ引き裂かれたか?

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お題「好きな街」

 

ただいま稽古中のオペラ《カプレーティ家とモンテッキ家》

藤原歌劇団公演「カプレーティ家とモンテッキ家 I Capuleti e i Montecchi」2016年9月10日、11日 | JOF 公益財団法人日本オペラ振興会

カプレーティ、モンテッキ、というのはそれぞれ、ジュリエットとロミオの一族名(名字、と言っても良いのかな?)で、つまりは、良く知られた「ロミオとジュリエット」のオペラ版。

 

物語の舞台はイタリア北部の町、ヴェローナ

 

世界最大規模のワインの見本市VINITALYが開催される都市としても知られ、夏のオペラフェスティバルの老舗(笑)、Arena di Veronaなどもありますが、やはり何と言っても、「ロミオとジュリエットの街」として有名。

観光客の期待に応えるためか、商魂たくましく、か、後からバルコニーが増設された「ジュリエットの家」なんていう観光名所もあります。

右胸を触ると幸せな結婚ができる、と言われるジュリエットの像の右子(うちの息子がおっぱいにつけた名前)と、何故か左子も触られすぎて変色してテカテカ。

今から幸せな結婚をしたいようには見えない、昼からワイン飲んでヘベレケ気味のおっさんたちもジュリエットの胸を掴んだ写真を撮りあったりしていて、有名な幻滅観光スポットでもありますが...。

 

ジュリエットの家付近以外は非常に落ち着いていて、アレーナがあるブラ広場もローマのコロッセオなんかに比べて趣があるし、小さい町に教会がひしめき合っていて朝は鐘の音がうるさくて寝てられたもんじゃないんですが(規制されちゃったとかいう話も聞いたような?それも寂しい)、その音色も、それこそロミオとジュリエットの時代、中世にタイムスリップしたような気分を味あわせてくれます。

 

私が本格的にイタリアに住み始める前、色んな都市を、Casa delle donne(イタリア各地にある修道女が営む女性限定のユースホステル。カーザ デッレ ドンネ=女性の家)に泊まりながら旅したとき、この街に住んでみたいなあ、と思ったふたつの街が、実際その後住んだフィレンツェと、ヴェローナでした。

 

そんな憧れの街。ロミオを演じていると、ヴェローナ在住!みたいな気分を味わえてなんだか嬉しいのです。

そして、歌詞にヴェローナと出てくるだけでもなんだか嬉しいのは、VERONAという言葉がとっても歌いやすいから、というのもあります!(笑)

試してみて下さい!

  • 下唇の内側に少し歯を沿わせてから柔らかく微笑むように口を開いてVE
  • 軽く舌を巻いて唇を丸い形で前に出して、少し長めにRO〜
  • 舌を平たくして硬口蓋に優しく、しかし、しっかりと押し付けてから下あごに落としつつ、ため息を吐くようにNA

発音するだけで歌っているような感じになりませんか???

 

同じように、「ロミオとジュリエット」のイタリア語発音、ロメオとジュリエッタも、やはり「絵になる」ならぬ「歌になる」名前。

 

オペラ《カプレーティ家とモンテッキ家》での、二人のDuettoの始まりは、こんな感じ。

f:id:toriki841:20160804163158j:image

Ah! mia Giulietta!...(ああ!僕のジュリエッタ!)

Ah!... Romeo!...(ああ!...ロメオ!)

 

ロマンチックが止まりませんっ!!!

 

これが例えば、「ロミオとジュリエット」のアイディアの元になったと言われるギリシャ神話の「ピュラモスとティスベ」だったら?

(イタリア語ではPiramoピラモ、とTisbeティスベ)。

 

オー!ミーア ティスベ!...

 

オー!...ピラモ!...

 

いまいちです(笑)。

 

ロミオとジュリエットに類する「許されざる恋」の神話や伝説は他にもたくさんあったのに、天才シェイクスピアがこのヴェローナが舞台のロメオとジュリエッタを選んだのには、そんな理由もある気がします。

 

 

そんなわけで?

結局自分が住みはしませんでしたが、ヴェローナは私が住んでいたフィレンツェからもさほど遠くはなく、友人が住んでいたり、アレーナにオペラを見に行ったり、と、楽しい思い出もたくさん。

 

あ、こんなこともありました......。

 

何故かは覚えていないのですが、日本人の女の子(当時はまだ”女の子”でいける歳でした。笑)ばかり4、5人でヴェローナの、友人お勧めのレストランで夕食を食べていて。

とっても美味しいレストランで、楽しく食べてお喋りしていたんですが、隣のテーブルのイタリア人男性の団体、まあまあ大人数だったような覚えがあるんですが、楽器を持っている人などもいて、どうやら音楽家たち。

どうもチラチラとこちらのテーブルを見ていて、注意を惹きたい感じ。

そこで彼らが選んだのが、イタリア語で「乾杯」の時に言う”CIN CIN”が、日本では男性の「アレ」を意味するらしいぞ、という話題。

そして、ゲラゲラ笑いながら、”CIN CIN”、”CIN CIN”と、だんだん明らさまにこちらを見ながら繰り返す彼ら。

普通の?日本人の女の子なら「えー、やだー、なんだろー」なんて言いつつ、困り顔で相手を喜ばせてしまうかもしれませんが、私たちはすでにもうその話題には飽っき飽きしているイタリア在住揃いでした。

彼らのニヤニヤ顔に「なんだてめーら」と睨みつけてツーン!という態度で応酬。

すると相手もさすが音楽家だけあって(?)雰囲気を読み、しーーーん、と、静寂が訪れ......。それ以降はどちらのテーブルも和やかに食事が進み。

私たちがメイン料理を食べている頃、頼んだ覚えのないワインが私たちのテーブルに運ばれてきました。

そう。

あちらのお客様からです

てやつ。

お上品な日本人女性たちに不快な思いをさせたお詫びに、お下品なイタリア人男性たちが(笑)ワインをくれたのでした。

お上品でおゲンキンな私達はもちろんそれを受け入れ、ワインが注がれたグラスをかかげ、声を揃え、

 

「チンチーーーーン!!!」

 

ワインをせしめる作戦だったみたいになってしまった感もありますが、結果、超和やかな、思い出深いヴェローナの夕べとなりました。

 

あれ?

書き始める前は「ロミオの一族とジュリエットの一族はなぜ対立していたのか」という話を書こうとしていたのに!!

 


 

 

 続き(というか本文)はまたいつか......。

稽古は順調に進行中です!!