今回、チェネレントラの公演に向けて、過去の懺悔から始めたいと思う次第です......。
以前、イタリアの某食関係の雑誌の、
みたいな企画の対談をしたことがありました。
色々適当すぎで、私が話して記事になった内容も、
「イタリアオペラには、人生経験がなければ歌えない曲がたくさんあるけど、ロッシーニはそれを求めていない気がするから、若者でも歌えちゃう!」
って感じだったような......。
(ロッシーニファンの方には失礼な話がまだ少しあります。閲覧注意?!)
まず、ロッシーニを勉強する気満々でイタリアに行った私に、師匠バルビエリが放ったのが、
というお言葉。
でも、彼女もチェネレントラは歌ってるんですけどね。
「労多くしてなんとやら」
みたいな経験だったと思ってるようでした。
(女優さんが演じていて吹き替えが師匠。ビデオしか持ってなくて今聴きたくても聴けない!)
そして、バルビエリの死後に師事したテノールのマッテウッツィには、
「やよいはDiplomatica(ディプロマティカ=如才ない)に見えて実はPazza(パッツァ=狂女...?)だからロッシーニぴったり」
と(悪口)言われつつ、ロッシーニの極意と歌う喜びを教えていただいておりますが、なかなか会得は難しく......。
音楽のおばあちゃんと音楽のパパ、2人の異なるロッシーニ観を浴びた私。
素直に「ロッシーニいいよねっ!」と言えない子に育ってしまいましたとさ。
それどころか私の心理には、
「あのロッシーニはすっぱい」
という完全昇華も近し!といった感もありました。
そこからの、ゴマメの歯ぎしり的な、
「ロッシーニに人生経験はいらない」
発言だったのかな?
愚かな過去の私よ!!
ちなみに、音楽の母オブラスツォワは60過ぎてからロッシーニの魅力に気付いたそうで、猫の二重唱はよく一緒に歌います。
ただ、音を正しく歌うことより、本気で猫の物真似をすることが重要らしく、うっかり普通の頭声を出すと、
「コラアー!今人間が出てきただろー!!」
と、こっぴどく怒られます。
江戸家猫八師匠に弟子入りした気持ちになれます。
えー、こんなにロッシーニに対して消極的な私が今までに歌ったのは、
「ランスへの旅」メリーベア
「タンクレディ」イザウラ
「セビリアの理髪師」ロジーナ
の3役。(忘れてなければ!!!)
本当に素晴らしい経験でしたが、実に......
(あ、順番間違えた)。
実に大変でしたが、本当に素晴らしい経験でした!!!
さて、今回は、むしろ舞台に乗らないのはもったいないような、「エスプリの権化」、辻博之さんの指揮。
母ちゃんメゾソプラノは果たして「プリンセスの権化」になれるのか!?!
8月が皆それぞれ忙しいようで、早い始動となり、音楽稽古が始まっておりますが、すでに笑いが絶えない稽古場。
瞳に知性が輝くプリティーな方です。
知性派といえば。
俗に言う(笑)「東大出身美人ソプラノ」
川越塔子ちゃんとの共演も楽しみすぎー。
彼女とは、イタリア時代ほぼ毎夏Vacanzaを共にした仲で。
塔子ちゃんが住んでいた素敵な海辺の街に、盆地のフィレンツェや、山中のブラに住んでいた私が押しかけていただけなんですが......。
同じプロダクションにいたことはあるけど、実は同じ舞台に立つのは初めて!
(忘れてなければ!!)
他にも、はじめましてな方々、お久しぶりな方々、たいへん面白そうな顔ぶれです。
末筆となりましたが...「チェネレントラ」とは、童話の「シンデレラ」のことですが、ガラスの靴もカボチャの馬車も出てきません。
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そして、なんと、大笑いできるコメディーなんです。
イタリア語歌唱ですが、もちろん字幕付き。
予習ありでも、なしでも、お楽しみいただけると思います!