mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

鰹節と夕日。西伊豆にて。

西伊豆では、「ありがとう」の代わりに「アリガツオ」と言うらしいです。

複数人から聞いた話なので信憑性は高いです!(2人...笑)

夫がとある食のイベントでイタリアに同行したご縁のある、「カネサ鰹節商店」の芹沢さんを訪ねるのを主な目的に、昨日、フラリと西伊豆へやってきました。


私は初対面だったのですが、テレビで「本枯れの鰹節」語っているお姿を拝見したような...。

修禅寺駅でお会いして、恋人岬を経由し...

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350年前に作り方が確立したという、伝統の鰹節作りを見学。

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とにかくいい匂いでした!(笑)

息子はどこか鰹節に似た風合いの?「ミラノちゃん」に夢中。

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削り立ての最高級鰹節が大好物で、削っていると可愛くおねだり♡
「ミラノ」に住んでいた友人の愛犬が、パルミッジャーノを削っていると激しくおねだりしてくる姿を思い出しました。

所変われば品変わる。


さて、行く先々で会う人々が、

今日はきれいな夕日見れるだろうねえ

と、挨拶のように口にするので、西伊豆では「ありがとう」が「アリガツオ」な他に、こんな洒落た午後のご挨拶もあるんだなあ、なんて思っていたんですが。

そしていったん宿に入り、芹沢さんが、

「じゃあまた夕日の頃に迎えに来ます」

とおっしゃるので、

「あ、本当に夕日見るんだー。へえー、ロマンチックなんだなあ、さすが(?!)」

くらいに思っていたんですが!


......まさかの絶景!!


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周りは三脚立てて本気なカメラマンたちの人集り。

私はスマホ...。
息子も撮りたいと言うのでiPadを持たせたら100枚くらい撮ってましたけど...。

夕日なんてどこで見たってきれいだろうに、とか思っていてすみませんでした。

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見惚れているうち、あっと言う間に日は落ち、やはり三脚だらけの展望台カフェへ。

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柔らかくて美味しい鹿肉をいただきつつ、日が落ちてもまだまだ美しい夕焼けの名残を楽しみました。

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メゾソプラノが出て来ないのであんまり知りませんが(笑)、プッチーニの《ラ・ボエーム》の4幕(たぶん)で、ミミの「私はまだ綺麗かしら?」という問いかけにロドルフォが、

”Bella come un'aurora”

曙くらい綺麗だよ

と答えると、ミミは、

”Hai sbagliato il raffronto. 
Volevi dir: bella come un tramonto”

比べるものを間違ってるわ
日没くらい綺麗、でしょ

と言うのですが、この大田子海岸の夕日を想定すると、


ミミ、図々しい。


イタリア語で言うなら、

Che faccia tosta, Mimì!! 

でしょうか。
なんのことやら、ですけど(笑)。


そして、この海岸でちょうど夕日が男島女島の間に沈む姿を見れるのは、今日、明日を過ぎたら次は秋だよ、という話を聞いていて思い出したんですが、

「私、明日誕生日!!」(つまり今日)


母ちゃん、41歳です。

バカボンパパの歳です。


もうそんな歳かあー、と、少し感慨深くなりながら海岸線を眺めていたら、今は亡き大切な師匠、オブラスツォワが、

スタルーハ!」(ロシア語で「婆ちゃん!

と私を呼ぶ声が心に浮かびました。


出会って数年して、私が25歳を過ぎたあたりからたまに私のことをそう呼んでいたので、私は「スタルーハ!」と呼ばれたら普通に「ダー?」(はーい?)と返事をしていたのですが、一緒にロシア人がいるとビックリされたり、笑われたり、いいネタになっていました(笑)。


日本海育ちで海といえば「攫われる」と刷り込まれている私をスペインで無理やり海に連れて行って、

「海はほとんど○○○○のように素晴らしい!」
(ご想像にお任せします)

と、海の素晴らしさを教えてくれたのも師匠でした......。


でもいつからか、あんまりスタルーハって呼ばれなくなったなあ。
シャレにならなくなってきたから??


いやいや。

私が35歳で出産し、スタルーハ(婆ちゃん)からマーマチカ(母ちゃん)に若返ったのでした。

私をマーマチカと呼ぶオブラスツォワ先生と息子は姉弟のように仲良しで!?

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デパ地下でなんだか分からない歌を二人で熱唱し始めた時には、母ちゃん逃げ出したくなりましたが......。



息子とロシアにおいで、って、何度も誘ってくれたのに、一緒に行けなかったな。

まだまだ教えて欲しいこともあったなあ。


......ロシアとは反対側の海を見ながらですが、そんな想いを抱きつつ眺めた、綺麗な夕焼けでした。