mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

藤原歌劇団《カプレーティ家とモンテッキ家》終演!

 

ロミオ、故郷へ帰る。

て感じで!?ただいま北陸新幹線かがやき車中です。

公演から4日経ちましたが、まだ舞台の熱が少し身体に残っている感じ。

いや、もしかしたら残っているのは「舞台の熱」ではなく「打ち上げの酔い」かもしれませんが...(笑)。

素晴らしい声、歌、芝居を同じ舞台上で堪能させていただいた共演者の皆様、マエストロ、総監督、一緒に稽古を頑張ってきた別日のキャストの方やアンダースタディーの方々、合唱団の方も加わり、打ち上げも非常に盛り上がりました〜。

 

終演後、まず驚いたのはこの出来事。

1幕のわりと早い段階で飛んできて、あとで私経由で返せばいいか、指揮者は予備の指揮棒くらいあるんだろうし、と思ってキープしていたらしいんですが、とりあえず私が覚えている限り山下一史マエストロ、本番に限って指揮棒なしでの指揮でした(笑)。

打ち上げでご一緒したときにそれをお話して、指揮棒もお返ししようかと思ったのですが、やはり記念に、と、サインまでしていただいて、我が家の家宝となりました。

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ちなみに、下の写真は劇場で販売したブロマイド!(笑)

なんと開演前に売り切れました!!

 

前にもどこかに書きましたが、私がまだうら若きころ!初めて歌った、ベートーヴェン第9とミサ・ソレムニスの指揮者が山下さんでした。

そのときに美味しいお寿司をごちそうになった話をいつまでもしているのですけど(笑)。

私を見出してくださった岩城宏之さんの次に、深いご縁を感じるマエストロです。

ワインと餃子がお好きなところにもだし。

今回稽古で再会したときには、私が5月にバルセロナから帰った直後にバルセロナで公演があった《カプレーティ家とモンテッキ家》を観るためにバルセロナに行っていたというすれ違いも発覚。

山下マエストロは、指揮自体ももちろんですが、稽古中から打ち上げまでで見聞きしたオペラに対する謙虚で真摯な姿、言葉が本当に素晴らしく、私の大好きなこの作品で、奇跡的なキャストで、ご一緒できたことが嬉しくてたまりません。

やはり山下マエストロのオペラは良い、という噂は他からもたくさん聞いております。

今のところ、次は宗教曲でご一緒する予定しかないので...ぜひオペラもまた山下さんの指揮で歌いたいなあ!!

 

さてさて。

幸い、お客様方から、公演に関する嬉しいご感想もたくさん届いております。

私に関することで面白かった(笑)のをいくつか。 

 

  • 登場シーンで「待ってました!」と声をかけたくなったので屋号を決めたほうがよい。(Nさん・フルーティスト・男性)
  • ズボン&ブーツの似合い具合がバスティアニーニコレッリ(イタリアオペラ黄金時代のモテモテ男性歌手たち)と互角。(Sさん・オペラファン・男性)
  • 女らしいところがひとつもなくて良かった。(誰に言われたか忘れた)
  • キャー!キャー!!(藤原歌劇団女子マネージャーらを含む若い女性たち)
  • 本当になんか始めそうだった(ラブシーンを見て。Iさん・夫)
  • ママ、死んだフリだよね?(Mくん・息子)

 

最後のはともかく、絶賛の男らしさ!(笑)

これにはスペシャルサンクスを送りたい方がひとり。

全身写真でどんなにスッとしていらっしゃるかも見てください!

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この舞台稽古の日、長〜〜い1日の終わりでまあまあへとへとでしたが...。

江副記念財団45周年記念コンサート&藤原歌劇団《カプレーティ家とモンテッキ家》GP - mezzosoprano 鳥木弥生blog

ものすごく細かく改善すべき点を教えていただき、しかも自分がちょっと疑問に思っていたところをズバリ、ズバリと指摘され、閉じかけた目が爛々とするのを我ながら感じました。この出会いも奇跡的!!

せっかくだからまた男役やりたいなあ......。

アドバイスいただく前にも「だいたい良いですよ。酷かったらどうしようかと思った」と褒めて??いただいたので、元々素質ありなんだと思うんですよねー。(調子乗りました。ごめんなさい。笑)。

GPを観に来てくださった方の中には、最初サウンドチェックで舞台上に上がった私とテバルド所谷直生さんのどちらが本物の男性か声を聴くまで分からなかった、という方も!!

最後、お墓のシーンでは階段を降りて登場したのですが、そこから完全に気分は宝塚?!

カーテンコールでは思わず緞帳裏から引いて出た暁恵ジュリエッタの手の甲にキスまでしてしまい、裏に戻ったときに少し恥ずかしくなって「ごめんね...」と小さく謝りました(笑)。

 

お稽古も見に来てくださったライターの小田島久恵さんが、素敵な感想を書いてくれました!


こんなに褒めていただくにはまだまだ足りない部分が多すぎて、ベルカントオペラを、現代に相応しく、見た目、演技でも観客を納得させる舞台の中で歌う難しさを痛感しました。

最後は本当に取捨選択。

最後の最後まで迷って迷ってようやく決めた部分を、終演後のホワイエでの交流で、オペラファンの方に特に良かったと言われた時には感謝でその方を抱きしめそうになりました!

 

演出の松本重孝さんには面倒くさい歌手だと思われていること請け合いなんですが(笑)、楽譜を大切にして、音楽、言葉、演技の全てがあるべき姿で流れていく、という目指すところが同じだという確信はあったので、一緒に試行錯誤できたことをたいへん嬉しく思っています。

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JOF Blog 舞台裏レポート | JOF 公益財団法人日本オペラ振興会

 

右から、総監督折江さん、カペッリオ豊島雄一さん、ジュリエッタ光岡暁恵さん、私、松本重孝さん、テバルド所谷直生さん、ロレンツォ坂本伸司さん。

 

写っていないマエストロ、合唱団、オーケストラ、スタッフの方々も含め、本当に良いチームでした。

稽古は終始和やかで、信頼感に溢れ、集中力漲っていたし、本当に個性的である意味変態な芸術家の集まりなのに、邪魔になるような人は1人もおらず(笑)、みんなが良い働きをしました。

こんな皆さんの中で主役だとかはおこがましくて言えるはずがなく...改めてこのオペラのタイトルが、

《カプレーティ家とモンテッキ家》

であることに感謝しました。

もしもロミオとジュリエットだったら筆頭タイトルロールになってしまうけど、《カプレーティ家とモンテッキ家》ですから、ある意味全員タイトルロール!

 

ありがとう、ベッリーニ!!

またぜひ、あなたの作品を歌わせて下さい。