mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

野次と言えば。

塩村都議が質問中に、心ない、センスも頭も議員の資格もない男性達から野次を受けたニュースを見ながら、ムカつきつつ色々考えていて、ある有名な野次シーンを思い出しました。

[カード] Steffi Graf - 1993 Portfolio Bonus 105 -  シュテフィ・グラフ

この方の。


こちら。

1996年、ウィンブルドン準決勝で、シュテフィ・グラフ選手が(対戦相手が伊達公子選手だったことは今調べて思い出した!)サーブを打とうと集中していたときに浴びた野次。

「シュテフィ、結婚してくれるー?」

対してグラフはふっと力を抜いて笑みを見せてから、堂々とした声で、

「あなたどれくらいお金持ってるの?」

と。

返すタイミング、キレの良さはやはりテニスプレイヤーならでは!!?

ゼルダの伝説」のガノンドルフ戦なんて余裕なんだろうなあー。


ナブラチロワ派の私でしたが、一気にグラフも好きになりました。


そして今、世の中の酸いも甘いも、女性蔑視や人種差別も身を持って噛み分けてから改めて考えると、このグラフの小気味良い返しには、当時思った「良さ」とはまた違う印象を受けます。


「古式ゆかしい」男女についての考え方だと、男性の「金がある」「金がない」って、女性の「美人」「不美人」に対応する価値観ではないかと思います。

もちろん、グラフに結婚を申し込んだ(笑)方は、彼女の美貌ではなくお金目当ての進歩的な男性だった可能性も多分にあるのですけど、どちらにしても、真剣勝負中のアスリートを、変な言い方かもしれませんが、間違ったタイミングで「いち女性として」扱うような野次を飛ばした彼に対する軽い「ハラスメント返し」として、あの発言は小気味良かったのではないか、と。



ちなみに、塩村議員の件に関しては、こちらの記事の方のおっしゃる通りだと思います。


それこそ、彼女も言い返すべきだったとかいう意見もあるようですが、それはそうとしても、まずは加害者の追求でしょ。

まだ名乗り出ないんでしょうか。
さっきTwitterで「野次ったのはこの議員」て、いっぱいリツイートされてましたが、それはそれでまた、どうかと思うんですが......。

うわ、「彼女はべっぴんさんだから言われても大丈夫」て言ってる人までいた。


セクハラの上塗り......。



ところで、野次からは離れますが、私も真剣に「ハラスメント返し」の方法を考えていた時期があります。

「古式ゆかしい」イタリア人は、たいへん大らかに差別発言をします。
ベルルスコーニの「オバマはかっこよく日焼けしてる」発言もありましたが、あんなの、最悪ですが、日常茶飯事です。

普通に友人関係のイタリア人でも、平気で「黄色い」関係の冗談(あちらからしたら)をさも楽しそうに話してきます。

ほがらかに!

これに対して、どうしたらいいのかなあ、と当時真剣に考えて、やはり、こちも何か、表面上イノセンスに、しかし、相手が軽く傷つく「白い」関係のことを言えば良いのではないかという結論に達しました。

色々バージョンを考えたのですが、一番出来が良いかな?と思ったのが、相手がこちらを「黄色い」ものに例えてきたら、

「チャオ!トイレットペーパー!そろそろ内側空っぽの芯が見えそうだけど、今朝◯◯拭きすぎた?」

(◯◯の部分、イタリア語ではculoです。興味のある方は調べてね。)


と返す、というものでした。


しかし、これを編み出してからは何故か突発的な差別発言を受けることがなく、お蔵入り状態なんです。


まあ、付き合いがある程度長くなる相手には、うっとおしいと思われても良いので、
「そういうこと言われても笑えないし、傷つくよ」
と、説明して分かってもらっていたんですけどね。
でも、1回しか会わないかもしれない相手なら、一発で決めたいじゃないですか!


「そんなこと言ったら相手と同じレベルに落ちちゃう」

という優等生的たしなめもあると思いますが、奴らは別に嫌がらせのつもりもなく、人格的にレベル低いと決めつけるのも逆に失礼かも。

しかし、悪気が無い発言だから、と我慢はしたくない。
私は上手に、面白く仕返ししたい!!!

今からでもチャンスが来れば言う!!!

うん。母になったからといって急に心が広くはならないものです。

面倒は避けたいですけど。

これからも人を「トイレットペーパー」に例える機会が来なければ、それが一番です。


それにしても、今回のこっ恥ずかしい男性都議会議員達にも、せめてトイレットペーパーくらいの価値があれば、上手に◯◯拭いできるんでしょうけどね。


(◯◯の部分は、日本語で尻です。)