mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

少年も、王子も女神もメゾソプラノ

とにかく文章を書き綴っている時が1番幸せな私なんですが、ブログは半年以上ぶり...!

まだ初詣にも行っていませんが、今日行こうと思っています。今日が私の年明けです!

2024年もよろしくお願いします!!

 

去年の夏前だったか、急に髪型をツーブロックにしてみたくなり、美容師さんには「とりあえずこれくらいで」と、おそるおそるな分量を刈ってもらったところ、その後夏に出た連隊の娘と秋に出たカヴァレリア・ルスティカーナのメイクルームにて

もっと刈っちゃいましょ!

と、どんどん刈り上げ部分が幅広になっていくという事象があったことが関係してか、せずか......

 

そうだ、ズボン役にしよう!

と、生涯3度目となるリサイタルのテーマが決まりました。

そのリサイタルが、今月19日なのです!!!

f:id:toriki841:20240207115709j:image

幼少から、いわゆる「女らしさ」「男らしさ」みたいなものがおぞましくてしかたなかったのもあり、逆にわざわざ男役だけを、というのも何かなとも思いつつ、いやいや、むしろやる価値があるのだ!といううっすらとした予感と、ただただ舞台上でズボンが履きたい!!という強い気持ちとで、本当に楽しくプログラミングをしました。

オペラアリアだけではなく「特に女らしくはない」心情で歌う歌曲も。

(ちなみに現在、刈り上げ部はのびてきてしまい、これからどうするかは考え中です)。

 

そして、あまりにプログラムが気に入ったので、誰に頼まれてもいないのに、全曲、肝入りの対訳を作ってしまいました!

一晩ちょっとで全曲書き上げて、頼まれてもいないのに(2回目)「できましたー!」みたいな感じで提出して(笑)、今回が初共演となるピアニストの河野紘子さんにも、たぶん、ちょっと驚かれました。

 

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by 鳥木 弥生 (@yayoitoriki)

 

非常に美味しいおやつを食べて、元気いっぱいにリハーサルしております。

 

今週のお題「元気を出す方法」

 

そして幸い、せっかくだから対訳は当日皆様にお配りしましょう、ということになったので、私の肝を、音でも言葉でも感じていただけることと存じます。

更にせっかくなので、ここに、ひとつ、ふたつ...みっつ!

私が特に心揺さぶられる、フランスオペラからの三役、三曲の対訳をひと足お先に!!

 

こちらは、恋する相手に花を贈る男の子...

C.F.グノー《ファウスト》より

シーベルのアリア「僕の告白を彼女に」


僕の告白を彼女に 僕の願いを運んで

彼女の隣に咲いたお花さん

彼女に「綺麗だよ」と伝えて

僕の心は夜も昼も 恋に悩んでいるんだ!

彼女の魂に打ち明けて

僕の燃える秘密を!

君を捧げて 甘く匂わせたいから…!


萎れてしまった!?

あの神に罰された魔術師が僕にも呪いを?!

僕はもう花を摘めないの?

全て萎れてしまうの?


聖水に指を浸したらどうだろう!

ここはマルグリートが毎晩お祈りに来る場所だし!

さあ今だ! 急いで試そう!

萎れるかな…? 

萎れない!

悪魔め ざまあみろ!


君に期待してるよ 僕のことを話してね!

彼女に知って欲しいのに

彼女が生み出す熱情に惑わされて

僕は話せないから!

もし僕の気持ちが彼女を戸惑わせても

このお花がせめて 彼女の唇に触れますように

彼女にキスを

甘いキスを!

 

そして、サンドリヨン=シンデレラの王子様、プリンスチャーミング役も!

J.マスネ《サンドリヨン》より

王子のアリア「愛のない心 薔薇の咲かぬ春」


さあ ひとりにしてくれ

ひとり… 憂鬱とともに…

 

愛のない心は 薔薇の咲かぬ春!

僕にとっては毎日が陰鬱 毎夜も陰鬱!

だのに 微かな甘い震えが

僕の存在を撫で掠めるのだ…

愛のない心は 薔薇の咲かぬ春!

 

もし目の前に 腕が差し伸べられ

僕の望む人が現れたなら

僕の魂は陶酔し 輝く

そして僕は情熱を込めて言うだろう

言うだろう…「僕は君のもの」

僕は君のものだ

僕の躍動を受け止めてくれたら

愛は我々に神を創るだろう

僕は君のもの!

 

しかし 僕は悲しみに暮れている

悲しみとともに ひとり

憂鬱が心を壊しそうだ…

全ての夜が陰鬱! 心が壊れそうだ…

僕は悲しい そして孤独!

 

そしてそして、こちらは青年の姿に変装した女神...

J.オッフェンバックホフマン物語》より

ニクラウスのアリア「見よ この震える弓の下」

 

見よ この震える弓の下に

振動する共鳴箱

聴こえる天空の音調は それと知らぬ魂の声

聞け 大気を伝わり 

深く沁みる響きは透明

弦は泣き濡れて あなたの悲しみを癒す

その苦しみを あなたの

陶然とした苦しみと混ぜ合わす


これは愛 勝利者の愛だ

詩人よ 心を捧げよ!


それはあなたを慰め 苦しみを混ぜ合わす

陶酔したあなたの苦悩 それは愛なのだ


そう これは愛 勝利者の愛だ

詩人よ 心を捧げよ!

 

メゾソプラノは「多様性」、「ヒロイン以外は全部メゾソプラノ」と、常日頃、その魅力を主張し続けておりますが、ズボン役という枠を作っても、やはり色々なキャラクターが楽しめるのがメゾソプラノ

今回もたっぷりメゾソプラノの魅力をお伝えできたらと思います。

 

f:id:toriki841:20240209121524j:image

令和6年能登半島地震 義援金を含むチケットを販売致します『G.ヴェルディ作曲《レクイエム》 R.ブラックフォード編曲版 【日本初演】 』 | 鳥木弥生 オフィシャルサイト

こちらもよろしくお願いします。

今週のお題「元気を出す方法」