mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

”むごい運命よ!”川口でロッシーニ。

昨年のチェネレントラに続き、ルナノバさん主催のロッシーニシリーズ?に出演させていただきます!

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今回は、

《アルジェのイタリア女》!

ロッシーニが21歳の時にわずか27日間で書き上げ、初演から熱狂的な大成功。ロッシーニを世界的スター作曲家にした作品。
スタンダールも笑い転げ、ロッシーニのことを「ナポレオンは死んだが、別の男が現れた」と評したそうです!いい意味だよね?笑

ロッシーニ伝

ロッシーニ伝


7月には久々にランスへの旅にも再会し、ロッシーニと私の複雑な関係?も落ち着いてきたような気がしています。


しかもこの《アルジェのイタリア女》(の中のアリアやドゥエットなど)は、私が一応、キャリアの初期からレパートリーとしてよく歌っていて、今回全曲を演じるのは初めてですが、楽譜は誰よりも年季入り。

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ちなみに付箋は数日前からつけているんですが、信号的な意味で緑、黄色、赤。
緑がまだ3箇所しかなーい!!!

えー、その僅かな緑のなかのひとつ、イタリア女イザベッラ登場のアリア、

Cruda sorte!
(むごい運命よ!)

囚われの身になった運命を嘆きながらも、自分の機知でピンチを乗り切ってみせよう、男なんてどうせ女性に気持ちよくしてもらうのをよだれ垂らして待ってるんだから!(意訳です)と歌う小気味好いアリア。


この曲にはたくさんの思い出があります。

私が初めてプロとして舞台に立ったベオグラードで観客にバレバレなくらい歌詞を間違えて、ごまかし方も分からず曲のあとに頭下げて「ごめんなさい!」(日本語。笑)って謝ったのがすんごい受けて新聞ネタになったこととか。

初めてオーケストラと共演したのもこの曲でした。

あ、そして《アルジェ》の本番に先立ち、9月5日、金沢での岩城宏之メモリアルコンサートでも、その初めてのオーケストラ、アンサンブル金沢さんとの再共演でこの”Cruda sorte!”を歌うことになりました。


その時の初めての指揮者、岩城マエストロとの再共演はいつかどこかの世界での楽しみに......今回は井上マエストロの指揮で歌わせていただきます。

あと、アヴィニョンのガラコンサートで歌ったときは、ガラコンサートなのに演出家がいて、ボックス踏みながら歌わされたなあー...。

昔から歌っているだけに、「こんなに歌ってるのにまだまだだなあ」と感じる度合いも強いのですが、今回はオペラの舞台で、物語の中で歌える貴重なチャンス!
共演者からパワーをもらって私史上最高の”Cruda sorte!”を歌いたいと思います。