mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

息子の失恋。

この春、息子が幼稚園に通いはじめて割とすぐに、
「髪の先っぽが可愛い」
と、惚れた子がおりました。

仮の名を「レオノーラちゃん」とします。

顔立ちが大人っぽく整った美人。

同い年なんか相手にしない感じだろうなあ、と思っていましたが、やはり付かず付かず(笑)で、息子は、「可愛いなあ」と見ているだけだったようです。


そうするうち、息子は、たまに帰りの園庭遊びでも一緒になる、妖精さんのような容姿で、世話好き女の子に心変わりをしました。

仮の名は「スザンナちゃん」とします。

息子が他の男の子をケンカしているのを仲裁してくれたり、何か困っていると、ヒラヒラとやってきて助けてくれたりする子です。

このスザンナちゃん、美形のレオノーラちゃんとはまた違った華のある子で、

「ウフフフフ」
と笑いながら、黄色いワンピースの裾と柔らかそうな長い髪を翻してクルクル回ってたりするのを見ると、

「とりあえずTomorrow聴かせて!」

と、母ちゃん、オーディションのひとつもしたくなるのです。
何の権限もないけど(笑)。


パパが一緒にお風呂に入っていて、心変わりの告白を聞いたそうで、母ちゃんとしては、

「やっぱり惚れたか!」

と。


その前日、公園で会ったときにスザンナちゃんから、

「これ、あげる」

と、なんかキラキラしたものをもらったのが効いたようです。

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こんなん。

それ以来、お風呂でパパと恋バナするときも、夜寝るときも、気がつけばいじらしく、大事にこの小さなキラキラを握りしめているのです。

スザンナちゃんがニコニコお話ししてくれたこと、お弁当を近くで食べれたこと、息子は本当に幸せそうに話してくれました。



......しかし、悲しみの日はやってきたのです......。

ある朝、なんだか幼稚園に行きたくなさそうな息子。

「早く行こう!スザンナちゃんも待ってるよ!」

と言ってみるも、無反応。
甘えたがって、なかなかシャキッとしない。

それでも、なんとか幼稚園まで連れて行き、玄関で先生に引き渡して門を出ると、門の向こう側まで息子がついて来ていて、柵の間から顔を出して何か言いたげ。

「どうしたの?」

と聞くと、息子は寂しげに言いました。

「スザンナちゃんは、本当はラダメスくん(仮)が好きなんだ......」

そして、息子について玄関を出て来てくれていた先生が後ろから、

「あー、あそこは、もう結婚するって決めてる仲だからね」

と、追い打ち(笑)。


母ちゃんは、先生に促されてションボリ園に戻っていく息子の背中を見守るしかありませんでした。


可哀想に......そういえば昨夜寝ながら少し泣いてたな......。よほどショックだったんだな......。でもラダメスくん、優しくてかっこいいもんなあ......。


と、しんみりしながら家に帰り、夫にそのことを話すと、


「そういえば、昨日お風呂で恋バナしたとき、『スザンナちゃんのこと好きだけど、だめならやっぱりレオノーラちゃんでもいいんだー』て言ってた」


だと!!!?


本心なのか、強がりなのか、どちらにしてもどうかと思うぞ、息子!


母ちゃんの同情を返せー!!