東京芸術劇場、世界のマエストロシリーズvol.4「アントニ・ヴィト&読売日本交響楽団」 - mezzosoprano 鳥木弥生blog
残念ながら先週末が終わってしまいました...。
終演後、マエストロ・ヴィトと。
急な代役にも関わらず、プログラムを一曲たりとも変えず...。特に私が歌った”メリザンドの歌”はめったに演奏されない曲で、マエストロも初だったとか、洩れ聞きました。
プログラムはこちら。
フォーレの《ペレアスとメリザンド》を、この”メリザンドの歌”を入れたバージョンで、と、冒険?して下さった東京芸術劇場さま、それをOKしてくれたマエストロ・プラッソン(元気になってください!!)、歌うのは私がいいんじゃないかと思いついて下さった方、緊急事態にそのままのプログラムを引き受けて下さったマエストロ・ヴィト、もちろん共演の読売日本交響楽団さま、聴きに来て下さった皆さま、感謝すべき方々が多すぎてどこに足向けて寝ていいか分かりません!!
リハーサル中、マエストロ・ヴィトが”メリザンドの歌”を「大丈夫、好きに歌って!誰も知らないから」なんて言ったりもしたんですが!(さすがマエストロWit!笑)、残念ながら?この、フォーレの《ペレアスとメリザンド》、こちらの名盤にしっかり”メリザンドの歌”が入っているし、誰も知らなくはないのですよー。笑
- アーティスト: プラッソン(ミシェル),ゲッダ(ニコライ),アリックス・ブルボン・ボーカル・アンサンブル,シュターデ(フレデリカ・フォン),フォーレ,トゥールーズ・カピトール国立管弦楽団,ナグル(パトリシア)
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2006/03/23
- メディア: CD
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私もこれ、当然持っておりまして、密かにマエストロ・プラッソンにサイン貰おう〜、とかミーハーなことを思っていたので残念でしたが...。
しかし、代役でまさかのこの巨匠。
(まあ、世界のマエストロシリーズなわけで、意地でも巨匠を探し出さねば、というのはあったと思いますが)。
老...ではなく、人生の大先輩指揮者好きな私としてはたいへん良い思いをさせていただきました!!
そうそう、そんな老...ではなく人生の大先輩指揮者好きな私が12月に挑むのは、こちらのコンサート!このマエストロ!!
ヴィト氏より16歳上のゼッダ翁!いや、ゼッダ神!?
ぜひぜひお越しください...。
話を戻しまして...。
ゼッダ氏に比べればまだまだお若いヴィト氏。「華のある職人」と言った風情のマエストロでした。
マエストロWitはポーランド人。言葉を使った説明は簡潔すぎるほどで、あとはあるべき所に一緒に行きましょう、という戦友型(笑)マエストロ。ベルリンとモスクワにいたときに仲良くしていたポーランド人の友人たちとも、不思議に言葉がなくても気持ちが通じたのを思い出した。そういう国民性?
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年10月30日
「歌手」も「歌手」としてではなく、組曲のいち構成要素として(ある意味楽器のように)存在して欲しい、という意図を、はっきりそう言われたわけではないながら空気が読めるメゾソプラノでお馴染みの私、完全に理解しました(笑)。
1st.バイオリンと2nd.バイオリンの間、という初めてのポジションで《ペレアスとメリザンド》曲中、歌う前、歌ったあとも待機。
”メリザンドの歌”の時だけマエストロの真横に歩み出て歌う、という、段取り。
プログラムともテイストぴったりなドレス。実は小川里美嬢から譲り受けたもので...。メリザンドを歌うにあたり、髪が短かったことだけが悔やまれます!?!https://t.co/kPcxDYkPHQ pic.twitter.com/UXffyuPisF
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年10月29日
この色で黒尽くめのオケ中にいるので落ち着かないといえば、かなり落ちつかない...。
待つ間の椅子の角度もしっかりマエストロ向きだし、目が合いまくり(笑)。
あとで友人知人数名に「待ってる姿勢が異様に良かった。笑」と突っ込まれましたが、最初、かなり緊張してましたから!!
途中からかなり慣れてその珍しい位置から聴くオーケストラの音に酔い始めて「なんか変なこと考えてたでしょ?恍惚としてたよ」という鋭い?!指摘もいただいたり...。
翌日フラメンコの先輩にその話をしたら「パルマ(フラメンコの手拍子)叩くわけでもないのにねえ」と言われましたが、まさにパルマ叩くとしか思えない佇まいだったと思います、我ながら。
(参考)
一応ソリストとしてマエストロと一緒に最後に舞台に出たものの、歌手が普段座るようなところでないところに私が座ったので、たぶんお客様の中にも「まさかあの位置から歌うのかな?」とか、 思った方がいるかも。
というのも、私が歌うために前に出たら、明らかに「そうだよね」と、ほっとした顔をした人がたくさんいたから(笑)。
とてもゆっくりな曲だからか、会場全体と一緒に呼吸をしているような一体感も感じました。
いくら「楽器でいよう」と思っても、やはり良くも悪くも...歌手は歌手なんだなあ、と思ったり。
あまりにも「楽器ではない」歌手にはなりたくないな、という気持ちは昔からあるんですけど。バランスですねえ、何事も。
ともかく!
良い経験をさせていただきました!!
東京芸術劇場にて。藤原歌劇団のビッグソプラノ(笑)のお二人、小川里美さんと小林厚子さんも聴きにきてくれたのです♡ 大好き♡ pic.twitter.com/ZOQjZUlXDy
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年10月29日
本番から2日たち、まだまだシャワー下で口ずさむのは”メリザンドの歌”。
ちなみに歌詞は意外にも英語で。
”The King's three blind daughters”
(三人の盲目の王女が)
とてもミステリアスで美しい曲。
また歌う機会があるといいなあ!
さてさて、先ほど12月1日の公演のチラシを出しましたが、その前に、石川県七尾市での公演があります。
家具が可愛い芸劇楽屋にて(笑)来月のアンサンブル金沢公演の打ち合わせを指揮の垣内悠希氏と。カルメンハイライト他フランスオペラの名曲をテノール西村悟さんと、地元へお届けします〜。一部からの強い要望によりカスタネットも叩くよ!(笑) #OEK #カルメン pic.twitter.com/QsflQcmFPk
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年10月27日
オーケストラアンサンブル金沢さま、テノール西村さんとは何度も共演させていただいていますが、垣内マエストロとは初共演。
札幌に旅立つ直前、お忙しいところを打ち合わせに寄っていただき、初めてお会いしたのに、なんだか前から存じ上げているかのように思わせてくださる穏やかさで、この方なら私の田舎、ど田舎の「七尾」を楽しんでくださるに違いない、と、ほっとした次第でした。
テノール様は大丈夫かなあーーー(笑)。
もちろん私も歌いに行くんですけど、おもてなしもしなければ、という気持ちになるのは超地元だからかな...。
ナマコとかクチコとか、花嫁のれんとか、好きかな?みんな...。
私も久々に地元、和倉温泉の湯に浸かりたい!
この機会にぜひ、新幹線と在来線を乗り継いで能登、七尾へいらっしゃいませんか?
お待ちしております。