最初に書いておきますが、個人的なハプニング話が中心なので、ロッシーニやゼッダに関する興味深いお話を期待する方はお読みにならないほうが良いかも(笑)。
「アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート〜米寿を記念して〜」終演いたしました!厳かかつ華やかな雰囲気の中、大盛況で終演!カーテンコールでは米寿を記念して、マエストロに黄色いちゃんちゃんこをまとっていただきました♪ご来場誠にありがとうございました! pic.twitter.com/0ZOjOjVopZ
— 公益財団法人 日本オペラ振興会 (@JOF_opera) 2016年12月1日
「マエストロ、我々からプレゼントがあります!」
と言われたときのゼッダ氏の答えは、
「歌手がちゃんと歌ってくれるのが一番のプレゼントなんだけど」
というある意味キッツイひと言でしたが......。
それでもちゃんと着てくださいました、黄金色のちゃんちゃんこ!
さて、色々な名言も飛び出した、濃密な稽古期間を超え、一昨日、「アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート」カンタータ《テーティとペレーオの結婚》&《スタバト・マーテル》が終演。
一昨日?なんだかもっと遠く昔に感じるのはゼッダ氏のちゃんちゃんこ姿が「昔、昔、あるところに...」っぽいから??
『この国(日本)はこんなに整備されているのに、お前たちの音楽だけが未整備』アルベルト・ゼッダ#音楽家の名言 #ロッシーニの神様
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年11月25日
『歌うのは脳ではなくて喉。しかし喉には知性がないから正しい音でも間違った音でも、喉は気にせずに歌ってしまう。歌わせるのではなく、訓練で喉に正しい音を覚えさせろ』
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年11月27日
アルベルト・ゼッダ#音楽家の名言 #ロッシーニの神様
当日は、奇しくも?マエストロのこの↑名言がいかに大切かを見に染みて感じることになりました。
そうしないと、それを超えてアーティストとして歌うことは出来ないよ、人前で歌うときにはすでに喉が正しい音を知った状態、コントロールしなくて良い状態で歌うんだよ、という教えだったわけですが。
当日の私、舞台に登場してすぐのドゥエットはまさにノーコントロール、オートマチック.......。
恥ずかしい話ですが、理由、書きます(笑)。
前回オーケストラ合わせのお話の時に書きましたように、この稽古期間で私はゼッダ氏に吸い取られてどんどん痩せていっておりました。
アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート、オーケストラ合わせ! - mezzosoprano 鳥木弥生blog
テレビ収録もあるらしいし、痩せて良かった、なんて、思いつつ、今回私が選んだドレスはフィレンツェの美人マダムデザイナー兼お針子のナダさんに作っていただいたお気に入り。
10月にも着たので、
「あれから太ってはないから入らなくないはず」
という安心感で試しに着ることもせず。
そしたら、なんと、当日楽屋で着てみたらドレスがブカブカ!!うれしい悲鳴(笑)!!
なんですが、実際困る!!!
アルベルト・ゼッダスペシャルコンサート終演。まさしくロッシーニ、ゼッダ祭り!
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年12月1日
カンタータ《テーティとペレーオの結婚》で豊穣の女神チェーレレを歌った光岡暁恵さんと結婚の女神ジュノーネを歌った私。
神々の遊び(笑)
私の向きが反対なのが痛恨。 pic.twitter.com/fxClYzwTBR
こういうドレスだったんですが(笑)、結局、上のピラピラで見えない胸部後ろあたりの背中部分をつまんで安全ピンで留めて急場凌ぎをしたわけです。
それもあとで光岡暁恵さんから聞いた衣装さんの名言があるんですが。
「安全ピンは安全じゃない」
覚えておいてください(笑)。
舞台裏に早めにスタンバイした暁恵ちゃんと私は、その日までゼッダ神のもとで切磋琢磨した同志の奏でる音楽を聴きながら、非常に和やかに気合いを充填していて、私が出番前の舞台裏でだいたいいつも小さい声で絶叫している(笑)「STR◯NZ◯OOO!!!」に、今回もゼッダ神と我々を繋ぐ神官として活躍された指揮者の園田隆一郎氏が「VATTENE VIIIAAA!!」などと呼応してくれたり、いい感じの出番前(笑)。
そして、私達が歌うドゥエットの前の合唱曲。
ステージマネージャーさんから、そろそろ、と声がかかり袖近くへ。
続いて私達の曲の前奏が始まり、あと6小節で出番、と、舞台袖にスタンバイした瞬間、あの背中の安全ピン、いや、不安ピンが、私の気合い溢れる呼吸でパチン、と音を立てて弾け飛んだのです!!
とっさに周りをみると、ステージマネージャーさん(男性)、園田さん(男性)...。
非常に申し訳ないながら、
「暁恵ちゃん!ごめん!安ピン外れた!」と声を出したのが出の5小節前。
楽屋が同じで私のドレスブカブカも知っていた暁恵ちゃんが安ピンを受け取り、私の背中に回りこみ...。
4小節前...3小節前...
「OK!」
と、一旦解決をみて、気合いを入れなおそうとしたのか、暁恵ちゃん、いきなり園田さんと手を重ねはじめ、三人で円陣!!!?笑
2小節前...
「よし!!」
舞台に向かう。扉が開く。
1小節前...
パチン...
背中でまた(不)安ピンの外れる音...
「ダメだ!」
「え?」
「でも大丈夫!」
「うん、大丈夫!」
ぜんっぜん大丈夫じゃない状態で舞台へ(笑)
最後に外れた安全ピンを邪魔にならなさそうな場所に置いた自分の左手の指、キラキラのネイルが目に焼き付いて...
あとは、しばらく記憶無し!!笑
冷静か、冷静でなかったか、で言えばもしかしたら怖いくらい無心で冷静だったような気もするし。
結局、まさに首の皮一枚でドレス落下を防いだのは、一応ね、と思って胸部前面でドレスと下着を止めて置いたこれまた小さな不安ピンふたつでした。
弾けるかもしれない。
または、逆にドレスの重みで下着ごと落下とか.......
私の斜め上、割と近くに4カメさん...(笑)
これらの雑念、そして「暁恵ちゃん、すまんかった!!」
という思いが生まれたのは、ドゥエットが終わり、次の暁恵ちゃんの大アリアを聴きながら、ようやく、でした。
まあ、暁恵様は当然ながらそんなハプニングはモノともせずに大アリアを歌い。
フィナーレは私も意識がある状態で(笑)歌い、《ランスへの旅》を思い出すベルカント女王対決を楽しみ、会場との一体感も感じながら大団円を迎えることができました!
《ランスへの旅》7/3&5 日生劇場 - mezzosoprano 鳥木弥生blog
(懐かしい!!)
詳細はまだ知りませんが、後日放映がありますので、私自身もどれだけ歌いながら目が泳いでいるか、楽しみです......!!
私の中で実はゼッダ氏以外にもうひとり #ロッシーニの神様 がいて、それはソプラノの山口佳子さん @yohhin35
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年12月2日
昨晩とある事情で自分の演奏の記憶が薄かったのだけど、佳子ちゃんにちゃんと歌っていたと言ってもらえ、ようやく安心したのでした(笑)。
《スタバト・マーテル》組とはお互い余裕がなくてあまり交流できませんでしたが、暁恵ちゃん、向野由美子さんとの三人楽屋、メイクの濱野さんも含め、素敵女子に囲まれて居心地最高でした!
私の息子がチョロチョロしているのも快く許してくれる、どころか、すごく優しく相手をしていただき、大感謝です。
三人写真、楽屋での門外不出ショットしかないのが残念!!!
ゼッダスペシャルコンサート終演後、美しきお姉様メゾのお二人と。郡愛子様は後光が激しくてボケボケ写真ですが...。同じ役を他の日に歌うことが多く、いつも助け合い励まし合い、すれ違う(笑)向野由美子様と、今日は同じ楽屋で何だか嬉しかった!密かにネイルがお揃いだったのです❤️ pic.twitter.com/kCL65cxlZk
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年12月1日
そういえば、本番中、会場に郡愛子さんの姿を見つけて失っていた気を取り戻した気もします...。
ゼッダ、ロッシーニ祭り終了!ヘアメイクを担当してくれた濱野さんと。リーゼントにします、と言われたときはビビったけど(笑)思いの他気に入り、崩すのが惜しかった〜。
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年12月1日
そして我らがマエストリーノ園田さん。大役、ハッピーバースデーの指揮!お疲れ様でした〜(^^) pic.twitter.com/95WQikBGIG
たぶん二度と歌うことはないだろうな、と思われるこの作品。
大作曲家の知られざる名作(あるいは駄作)が大好きな私として、そして子供の頃からギリシャ、ローマ神話に夢中だった私としても、とても楽しかった!!
選べるのであるならば、ジュノーネ(ヘラ)よりもアテナかアルテミスがやりたいけど(笑)。
あと、ヴェルディかビゼーかマスネの知られざる名作(あるいは駄作)だったらもっとやりたいけど!?
「テーティとペレーオ」組で、棺桶に何の楽譜を入れて欲しいか、という話になった。とりあえず皆、今のところロッシーニではない(笑)!我々のロッシーニ、そしてゼッダ氏への愛は複雑なのです。@RyuichiroSonoda 氏はやはりロッシーニを選ぶのだろうか...。 pic.twitter.com/yztoHJQsfT
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年11月24日
稽古の休憩中、棺桶に楽譜話の続きが楽しかった。棺桶の意味の捉え方から議論(笑)。そして生まれ変わったら何になりたいかなど。私は人間ならシンクロナイズドスイミングの選手(今世では泳ぎ苦手)。動物ならアフリカオオノガン(今世では鳥木)。https://t.co/eQvjvNngKn
— yayoi toriki (@yayoitoriki) 2016年11月25日
「生まれ変わったらシンクロ」は、特にそれまでも思っていたわけではなく、となりに座っていた暁恵ちゃんの顔を見たらふと口をついて出た思いつきで。もしかしたら逆に前世で暁恵ちゃんとシンクロペアだったのかもね(笑)。
前回《カプレーティ家とモンテッキ家》からの連続コンビでしたが。
藤原歌劇団《カプレーティ家とモンテッキ家》終演! - mezzosoprano 鳥木弥生blog
お互い全然飽きずに付き合えて(笑)、ずっと面白かったねー。
私のロッシーニの女神さま、佳子ちゃんからも「ハモリ完璧」との評価いただいたよ!(私は覚えてないけど!笑)
有志による打ち上げはオーチャードホールから怪しげな建物が立ち並ぶ坂を登り(笑)徒歩2分の名店「焼肉どうげん」にて。
相変わらず美味しかった......。
俳優でもある店主の金さんと、当日の楽屋仲間での一枚!
金さん、かっこいい!!いつかカルメンのリリアス・パスティア役をお願いしたい!!!
そんなわけで、ゼッダさんに吸い取られた精気をしっかり取り戻し、たぶんもう今ならドレスはずり落ちないのでは...という私ですが、来週土曜日はまたまたオーチャードホールに、今度は今年最初の第九で舞い戻ります!
はー。
もう「ゼッダダイエット」は出来ないんだなあ.......。
思えばムチムチだった一歳の息子も、ゼッダに触れられたあと、少し痩せたかも?!?笑
6年越しの再会はちょっと疲れ気味な88歳と7歳でした。
また来てねー、マエストロ!!