mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

オネーギンからジャミレへ!

ロシアを離れ、フランス的エジプトへ。

f:id:toriki841:20191021075919j:image

f:id:toriki841:20191021075923j:image

昨日はオーケストラ合わせ。本日から劇場入りです。

 

その前に。新国立劇場「エウゲニ・オネーギン」は非常に、非常に残念なことに...千穐楽が中止になってしまいました。楽屋入り口の「本日千穐楽」を見ずに終わってしまった寂しさを、後日置きっぱなしだった荷物を取りに行った際に噛み締めました。

f:id:toriki841:20191021084317j:image

(ロシア仲間の「どん底」はまだやってた)。

観劇を楽しみにして下さっていた皆様に対しても、たいへん申し訳ない気持ちです。何かできたかというと、何ができたわけではないんですが...。

紅葉樹の黄色い枯れ葉を見ても、美しかった舞台(と美しいターニャ)を思い出し、とても寂しい気持ちになります...。

今週のお題「秋の空気」

それと知らず千穐楽となってしまった9日の公演の後に、ヘリコンオペラからのエールに応える形でムービー撮影が出来たのが、ひとつの慰めになりました。

実は千穐楽の日はマエストロ、アンドリー・ユルケヴィッチさんのお誕生日で!!

千穐楽にはそのお祝いをするため、この返礼動画はその前に撮ろう...と。

エストロの人間性の素晴らしさが無意識?運命的?に表れていた奇跡だったと思っています。

(返礼動画首謀者が大学後輩だったのは大変誇らしく!あっこちゃんBrava!!)

またいつか、マエストロのお誕生日を一緒に祝う機会がありますように!!!
オネーギンの再演もありますように!!!

 

「ロシアは本当に言葉を大切にする文化」 オペラ歌手の鳥木弥生 東京の新国立劇場での「エフゲニー・オネーギン」への出演について語った - Sputnik 日本

こちらは、スプートニク日本版に載せていただいたインタビュー。

インタビュアーのシュミロワさんがとても聡明で素敵な方だなあ、と思っていたら、記事も。

なんて素敵なセンス!!

 

そして、話は戻ります。

ビゼー作曲、オペラ「ジャミレ」

エウゲニーだって、トスカだって、カルメンだって、あんまり近所にゴロゴロしているわけではありませんが、それらにも増して、いっそう聴き覚えの薄い名前だとは思います。

そう、まず、名前なんです。

アラブの女奴隷の名前です。

私は一応タイトルロール。メゾソプラノが主役、というのもフランスオペラらしく、ビゼーらしい?

しかし、こちらもカルメン同様、テノールのキャラクターが深い!と、樋口達哉王子が歌うハルーン王子を聴いていて(いや、ハルーン王子を歌う樋口王子...?あ、同じことか?)思いました。

私にとっては、フランスでオペラデビューだった思い出の作品なんですが、王子の歌う言葉、メロディーの印象が鮮烈だったようで、なんなら自分のパートより覚えてました。

王子が召使のスプレンディアノ(を、歌うバリトンの岡昭宏さんがこりゃまた上手い!)と一緒に自分の恋の信条を歌う曲なんて、ハバネラ並みに調子良く口ずさめちゃうくらい。

......そういえば、歌詞に「茶色い髪の女性でも、金髪の女性も、順番さ!僕は女性を愛すんじゃない!愛を愛するんだ!」とあるんですが、フランスで歌った時の王子様が稽古期間中その姿をリアルに見せてくれ...いや、ま、いいか!!

その「愛」と並んで、このオペラで重要なところは、やはりジャミレは奴隷ですので...「自由」

愛と自由。アムールとリベルテ

なんか、誰かがかいた何かのオペラでしきりに歌われる言葉な気がします。

https://www.instagram.com/p/B32_47OpK2a/

本日携えてきたのは、5、6種類の重さを比べて、1番軽かった #カルメン

ジャミレを稽古しながら歌ったカルメン。また新たな面を見つけた気がしました。

ジャミレを聴かずして、カルメンを知ったと言うなかれ。

皆さま、ぜひ。

10/26 14:00 東京芸術劇場へ!!

次に実演を聴くチャンスが来るのは.....控えめに言っても.......オネーギンより、かなり低い確率かと思います......。

そして「ジャミレ」の話ばっかりしていますが、ドビュッシー「放蕩息子」とのダブルビルで、こちらも名歌手が揃って期待大大大!です。