mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート終演!〜あるいは危ういドレス事件

最初に書いておきますが、個人的なハプニング話が中心なので、ロッシーニやゼッダに関する興味深いお話を期待する方はお読みにならないほうが良いかも(笑)。

「マエストロ、我々からプレゼントがあります!」

と言われたときのゼッダ氏の答えは、

「歌手がちゃんと歌ってくれるのが一番のプレゼントなんだけど」

というある意味キッツイひと言でしたが......。

それでもちゃんと着てくださいました、黄金色のちゃんちゃんこ

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お題「プレゼント」

 

さて、色々な名言も飛び出した、濃密な稽古期間を超え、一昨日、「アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート」カンタータ《テーティとペレーオの結婚》&《スタバト・マーテル》が終演。
一昨日?なんだかもっと遠く昔に感じるのはゼッダ氏のちゃんちゃんこ姿が「昔、昔、あるところに...」っぽいから??

 

当日は、奇しくも?マエストロのこの↑名言がいかに大切かを見に染みて感じることになりました。

そうしないと、それを超えてアーティストとして歌うことは出来ないよ、人前で歌うときにはすでに喉が正しい音を知った状態、コントロールしなくて良い状態で歌うんだよ、という教えだったわけですが。

 

当日の私、舞台に登場してすぐのドゥエットはまさにノーコントロール、オートマチック.......。

 恥ずかしい話ですが、理由、書きます(笑)。

 

前回オーケストラ合わせのお話の時に書きましたように、この稽古期間で私はゼッダ氏に吸い取られてどんどん痩せていっておりました。

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート、オーケストラ合わせ! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

テレビ収録もあるらしいし、痩せて良かった、なんて、思いつつ、今回私が選んだドレスはフィレンツェの美人マダムデザイナー兼お針子のナダさんに作っていただいたお気に入り。

10月にも着たので、

「あれから太ってはないから入らなくないはず」

という安心感で試しに着ることもせず。

そしたら、なんと、当日楽屋で着てみたらドレスがブカブカ!!うれしい悲鳴(笑)!!

なんですが、実際困る!!!

こういうドレスだったんですが(笑)、結局、上のピラピラで見えない胸部後ろあたりの背中部分をつまんで安全ピンで留めて急場凌ぎをしたわけです。

それもあとで光岡暁恵さんから聞いた衣装さんの名言があるんですが。

「安全ピンは安全じゃない」

覚えておいてください(笑)。

 

舞台裏に早めにスタンバイした暁恵ちゃんと私は、その日までゼッダ神のもとで切磋琢磨した同志の奏でる音楽を聴きながら、非常に和やかに気合いを充填していて、私が出番前の舞台裏でだいたいいつも小さい声で絶叫している(笑)「STR◯NZ◯OOO!!!」に、今回もゼッダ神と我々を繋ぐ神官として活躍された指揮者の園田隆一郎氏が「VATTENE VIIIAAA!!」などと呼応してくれたり、いい感じの出番前(笑)。

そして、私達が歌うドゥエットの前の合唱曲。

ステージマネージャーさんから、そろそろ、と声がかかり袖近くへ。

続いて私達の曲の前奏が始まり、あと6小節で出番、と、舞台袖にスタンバイした瞬間、あの背中の安全ピン、いや、不安ピンが、私の気合い溢れる呼吸でパチン、と音を立てて弾け飛んだのです!!

とっさに周りをみると、ステージマネージャーさん(男性)、園田さん(男性)...。

非常に申し訳ないながら、

「暁恵ちゃん!ごめん!安ピン外れた!」と声を出したのが出の5小節前。

楽屋が同じで私のドレスブカブカも知っていた暁恵ちゃんが安ピンを受け取り、私の背中に回りこみ...。

4小節前...3小節前...

「OK!」

と、一旦解決をみて、気合いを入れなおそうとしたのか、暁恵ちゃん、いきなり園田さんと手を重ねはじめ、三人で円陣!!!?笑

2小節前...

「よし!!」

舞台に向かう。扉が開く。

1小節前...

パチン...

背中でまた(不)安ピンの外れる音...

「ダメだ!」

「え?」

「でも大丈夫!」

「うん、大丈夫!」

 ぜんっぜん大丈夫じゃない状態で舞台へ(笑)

最後に外れた安全ピンを邪魔にならなさそうな場所に置いた自分の左手の指、キラキラのネイルが目に焼き付いて...

 

あとは、しばらく記憶無し!!笑

 

冷静か、冷静でなかったか、で言えばもしかしたら怖いくらい無心で冷静だったような気もするし。

 

結局、まさに首の皮一枚でドレス落下を防いだのは、一応ね、と思って胸部前面でドレスと下着を止めて置いたこれまた小さな不安ピンふたつでした。

弾けるかもしれない。

または、逆にドレスの重みで下着ごと落下とか.......

私の斜め上、割と近くに4カメさん...(笑)

 

これらの雑念、そして「暁恵ちゃん、すまんかった!!」

という思いが生まれたのは、ドゥエットが終わり、次の暁恵ちゃんの大アリアを聴きながら、ようやく、でした。

まあ、暁恵様は当然ながらそんなハプニングはモノともせずに大アリアを歌い。

フィナーレは私も意識がある状態で(笑)歌い、《ランスへの旅》を思い出すベルカント女王対決を楽しみ、会場との一体感も感じながら大団円を迎えることができました!

《ランスへの旅》7/3&5 日生劇場 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

(懐かしい!!)

 

詳細はまだ知りませんが、後日放映がありますので、私自身もどれだけ歌いながら目が泳いでいるか、楽しみです......!!


《スタバト・マーテル》組とはお互い余裕がなくてあまり交流できませんでしたが、暁恵ちゃん、向野由美子さんとの三人楽屋、メイクの濱野さんも含め、素敵女子に囲まれて居心地最高でした!

私の息子がチョロチョロしているのも快く許してくれる、どころか、すごく優しく相手をしていただき、大感謝です。

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三人写真、楽屋での門外不出ショットしかないのが残念!!!

そういえば、本番中、会場に郡愛子さんの姿を見つけて失っていた気を取り戻した気もします...。


たぶん二度と歌うことはないだろうな、と思われるこの作品。

大作曲家の知られざる名作(あるいは駄作)が大好きな私として、そして子供の頃からギリシャローマ神話に夢中だった私としても、とても楽しかった!!

選べるのであるならば、ジュノーネ(ヘラ)よりもアテナかアルテミスがやりたいけど(笑)。

あと、ヴェルディビゼーかマスネの知られざる名作(あるいは駄作)だったらもっとやりたいけど!?

「生まれ変わったらシンクロ」は、特にそれまでも思っていたわけではなく、となりに座っていた暁恵ちゃんの顔を見たらふと口をついて出た思いつきで。もしかしたら逆に前世で暁恵ちゃんとシンクロペアだったのかもね(笑)。

前回《カプレーティ家とモンテッキ家》からの連続コンビでしたが。

藤原歌劇団《カプレーティ家とモンテッキ家》終演! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

お互い全然飽きずに付き合えて(笑)、ずっと面白かったねー。

私のロッシーニの女神さま、佳子ちゃんからも「ハモリ完璧」との評価いただいたよ!(私は覚えてないけど!笑)

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有志による打ち上げはオーチャードホールから怪しげな建物が立ち並ぶ坂を登り(笑)徒歩2分の名店「焼肉どうげん」にて。

相変わらず美味しかった......。

俳優でもある店主の金さんと、当日の楽屋仲間での一枚!

金さん、かっこいい!!いつかカルメンのリリアス・パスティア役をお願いしたい!!!

 

そんなわけで、ゼッダさんに吸い取られた精気をしっかり取り戻し、たぶんもう今ならドレスはずり落ちないのでは...という私ですが、来週土曜日はまたまたオーチャードホールに、今度は今年最初の第九で舞い戻ります!

 

はー。

もう「ゼッダダイエット」は出来ないんだなあ.......。

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思えばムチムチだった一歳の息子も、ゼッダに触れられたあと、少し痩せたかも?!?笑

6年越しの再会はちょっと疲れ気味な88歳と7歳でした。

https://www.instagram.com/p/BNfmHKNBVnm/

88&7

また来てねー、マエストロ!! 

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート、オーケストラ合わせ!

お題「Wii U」

絶対ですよ。吸われてます。 

稽古が無かった日は稽古以外で歌おうが動こうが体重は停滞、または増加。

 

しかし、昨日オーケストラ合わせがあり、マエストロ・ゼッダに再会したとたん、けっこう食べたのにまたぐっと減量...。

母に話したら「そういう段取りなんや」と言われましたが...段取り??(たぶんバイオリズムのこと)。

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もう、自ら吸い取られに行ってみました(笑)

(光岡暁恵さんと、グレーで揃ってみた!)

目標体重まであと1.1キロなんですけど、明日の本番までで吸い取り尽くしてもらえるかな?

足りなかったらこれも行かなきゃかな??

アルベルト・ゼッダ 声楽公開レッスン | 昭和音楽大学

 

えー、ダイエットはさておき。

そんなわけで、昨日、今日は、明日の本番に向けてオーケストラとの合わせ。

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私たちは二演目中、カンタータ《テーティとペレーオの結婚》組。

「歌モノといえば」の東京フィルハーモニー交響楽団さんは流石の安定感ですが、やはり演目が珍しすぎて、昨日のスタートは安全運転ぎみ。

しかし、いつもより時間長め、繰り返しちょい多めの稽古(私なんか一回出したらキャリア終了しそうな高音を軽々何度も出しまくるソプラノのお二人、佐藤美枝子さんと光岡暁恵さんに口あんぐり...)で、珍しさを忘れる心地よさに!(ロッシーニの他の作品の転用だから、とか突っ込まないでね!!)。

 

歌手との稽古期間中も数々の名言を下さったロッシーニの神様、マエストロ・ゼッダですが、オーケストラ合わせでもやはりその表現力、役者力は炸裂していました。

 

ひとつご紹介しますと、とある部分でマエストロがオーケストラに伝えたイメージが、

「パーティに紛れ込んだハエ」

聴きに来てくださる方には、ぜひどの部分かを当てて欲しい〜。

 

あと何度も繰り返されていた

Solenne! Solenne!!

という言葉。

荘厳」という意味。確かに内容は最高神が祝福する女神と英雄の結婚ですから、まごう事なき荘厳さ。

でももし内容を全く知らなければ、軽快さとエスプリが勝ってしまうかも。

マエストロが口を酸っぱくして「お前たちは女神だ」と讃えて(違う?)くれたのも、そういうわけで。

荘厳美麗

がこの作品のあるべき姿なんだな、きっと!

まさにベルカント(本来の意味の方)。

おちゃめな部分ばかり感じてしまわないようにしよう!!(笑)

 

さて、今日もこれからオーケストラ合わせ。

何キロ痩せるかな(違う?)。

 

客席にもゼッダ氏の吸引力が届くかもしれません!

年末前に少しダイエットをお考えの方もぜひ、12/1(木)19時、オーチャードホールにお越しください!!!

 

 

 

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート、いよいよ来週!

サディストの上位形態をゼッディストとでも名付けたいな、と思う今日この頃。

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今週初めからのみーっちり充実したゼッダ氏との稽古を経て、昨晩、通し稽古でした。

そして今週末は来週のオーケストラ合わせの前に予備的に稽古の日程が組まれていましたが、昼間、通し稽古の前のみーっちり濃密なソリスト稽古が終わった時に、当たり前のように「じゃ、今夜通して、また明日やって...」......

はい!喜んで!!!(笑)

 

ゼッダ氏が来日してすぐの大雪で。88歳!天候の変化についていけてる?なんて心配にもなりましたが。

お題「紅葉2016」

 

幸いゼッダ氏、怖いくらいの絶好調...。

誰よりも元気です!!

 

私が参加するロッシーニ作曲のカンタータ《テーティとペレーオの結婚》は、非常に上演機会が少ない作品。

ただ、なぜか同じくオーチャードホールでゼッダ氏が以前にロッシーニ・オペラ・フェスティバルで来日して演奏したそうで、それってホールとしてこの作品の演奏回数ギネス記録とかなのでは...?なんて気も(笑)。

 

上演回数が少ないとはいえ、ゼッダ氏とのロッシーニ恒例、マエストロ来日前に、ヴァリエーション(主に似たような形の音型が繰り返されるときに施されるアレンジ)の楽譜束がドサッと届く、というのは今回ももちろんありまして。

私なんかはなるべくシンプルな方向で最低限で済ませようとするのですが(音を増やす以外の表現で変化をつける!という言い訳?のもと!笑)......藤原歌劇団が誇るベルカントの女王たち、佐藤美枝子さんと光岡暁恵さんは、ゼッダからの挑戦に真っ向勝負!

とてつもないことになっております。

 

 

暁恵ちゃんに、こんな言葉を吐きながら、ニヤリと笑うゼッダ神。

でももっとレガートで強弱もつけてね

みたいな!!

サディスト!いや、ゼッディスト!!

 

通し稽古の帰りに暁恵ちゃんに、

「弥生ちゃんは落ちついててすごいね」

って言われたけど、いやあなた、私の2〜300倍くらい音数あるから!

《カプレーティ家とモンテッキ家》の時は二人とも同じくらいの落ちつき具合だったよ、音数に比例して(笑)

藤原歌劇団《カプレーティ家とモンテッキ家》終演! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

 

そんな暁恵ちゃんとのDuettoがこの《テーティとペレーオ》の中にもありまして。

暁恵ちゃんは豊穣の女神Cerere(チェーレレ=ケレース)、私は結婚の女神Giunone(ジュノーネ=ユーノー、ジュノー)。

子供の頃から神話マニアの私ですが、イタリア語でCerereは一瞬ピンとこなかった、というかギリシャ神話でいうケールのことかと思って(ケールの複数形がケーレスで、ケレースと激似)。

「お!暁恵ちゃん悪役!いいなあ!カッコイイ!!」

きっとテーティとペレーオの結婚式で急に暗雲が立ち込めてバサバサッと黒い翼の暁恵ちゃんが現れて花嫁を呪い殺したり......!!

なんて思ったら全然違いました(笑)。

あらゆる意味で良い役です。

ゼッダ氏にも「君たちは女神だ!!」と言われながら稽古しています。

だからもっと女神らしく歌え、というダメ出しですけどね......。

 

そうだ!イメージを視覚化して膨らまそう!!

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なるほど(笑)

(左がジュノーネ、右がチェーレレ)。

 

あと、このカンタータロッシーニマニアの方なら「あ、これ、あのオペラのあの曲じゃん?」という聴き方ができるのも面白いかも...??

お聴き逃しなきよう...。

 

 

さてさて、今後も色々楽しみなプロダクションに参加予定の母ちゃんメゾソプラノですが、昨日チケット発売となりましたのがこちら、f:id:toriki841:20161126063700j:imagef:id:toriki841:20161126063705j:image

来年3月、ご近所、立川でのカルメン!!

なーんて私得!!(笑)

 

ご近所の方も、そうでない方も、ぜひぜひお越しくださいませ。

こちらも売り切れ必至の公演ですので、良い席はお早めにお求めください!!

アンサンブル金沢「七尾定期」終演!

またまた、新幹線の中からこんにちは!

お題「好きな乗り物」

そうだ、七尾へ行こう! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

 

昨日オーケストラ・アンサンブル金沢「七尾定期」への出演を終え、帰京中です。

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終演後の一枚。

指揮の垣内悠希さん(右)

テノール、西村悟さん(左)

と。

オーケストラも含め、贅沢な音楽家の皆様に、私の生まれ故郷に来ていただいて、それだけでもうハッピー至極。 

リハーサルから3泊4日の旅でしたが、ものすごく濃厚な日々に感じたのは、プログラムの濃さのせいもあるかな?

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まず前半はベートーヴェン《運命》!

自分が出る舞台がまず「ジャジャジャジャーン」で始まる、ていうのがナカナカ無い経験で(笑)。しかも、我が故郷、七尾の観客のノリの良さが発揮され、一楽章終わりで大拍手!で、またまたびっくり。

でも、拍手が出てしまうのも納得のブラボーな演奏だったのです!

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そして、後半はフランスオペラの名アリア4曲とビゼーカルメン》。

西村さんとはこれまでイタリアオペラでしかご一緒したことがなかったのですが、フランスオペラの代表的なテノールの役、ロメオ、ウェルテル、ホセ、それぞれのキャラクターを瑞々しい知的さと美声で表現されていて、素晴らしかった!

そして、毎回カルメンからのセレクションをコンサートでやるときに始まる議論。

 

「動く?(演技をつけるかどうか)」

 

で、やっぱり今回も動きました。

オペラ歌手はね、好きなんです、結局、やりたいんです(笑)!

普通抜粋だとやるかな?やらないかな?やらないんじゃないかな??というカスタネットの場面も、叩きたがりな私たっての希望で。

 

舞台裏では恒例の?打楽器奏者の方々とのカスタネット談義もあり(笑)。

 

最期は指揮台の前でいつものように?こと切れました...。

いつかまた全編を演技派の西村ホセと共演できる機会があれば嬉しいなあ。

 

そんな私たちを思う存分歌わせて、動かせて(笑)下さった指揮の垣内さんは、初共演とは思えない親しみを感じさせてくれるマエストロでした。

 

リハーサルの時や、唐揚げを食べながら(笑)色々お話しして、僭越ながら?信条的にもとても似通ったものを見つけ(楽理科出身という賢すぎるマエストロなので、知的レベルは全く私とは違いますが...)、ぜひぜひ、またご一緒したいマエストロです。

 

そして、何よりも嬉しかったのはやはり、そんな素晴らしい方々との共演で、私の生まれ故郷、七尾の皆様に音楽を、歌を楽しんでいただけたこと。

コンサートの最後には、会場の皆様と一緒に「ふるさと」を歌い、感動のフィナーレとなりました!!

 

会場の七尾サンライフプラザは、以前は七尾市民会館という名前で、私が幼稚園か小学校低学年の時に当時習っていたバレエの発表会で初めて舞台を踏んだホールだし、客席には見知った顔も大勢。

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この楽屋も、この「第」の字体を見ればお分かりになるように、私が小さい頃から、というか、そのずっと以前から変わらず!

すべてがノスタルジー!!

 

これからも、いつまでも変わらずにあって欲しいなあ...。

 

終演後は西村さんが七尾に少し残りたいと嬉しいことを言ってくれて、数時間だけど、港町七尾の雰囲気と食を味わっていただけました!

西村さんのおかげで私も久々に七尾の美味を堪能できました。

特にもみいか!!懐かし美味しかった〜〜!!

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 あと実は西村さん、私の甥っ子にそっくりで(笑)。私の父と母にも認めていただけて満足でしたー。

甥っ子。

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さてさて。

北陸新幹線は順調に走行し、長野を過ぎました。

本日はこのまま、10日後に本番を控えたアルベルト・ゼッダスペシャルコンサートのお稽古に向かいます!

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アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート〜米寿を記念して〜 2016年12月1日 | JOF 公益財団法人日本オペラ振興会

いよいよ神様の来日も間近!

チケット好評 発売中です!!

 

そうだ、七尾へ行こう!

お題「好きな街」

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♪バラの園に煙る雨

ヒゲをつけたペルシャ猫♪

My  favorite thingsのメロディーが聴こえてきそうな景色ですが、京都ではなく、私が今、北陸新幹線に乗って向かっている石川でもなく、埼玉県入間市の紅葉。

 

お題「紅葉2016」 

 

もしかしたら北陸あたりも紅葉が見頃なのかもしれませんが、私が今新幹線に運ばれている目的はこちら。

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明後日、私の生まれ故郷、石川県七尾市にてオーケストラ・アンサンブル金沢「七尾定期公演」があるのです。

地元だからって、私がデカすぎやしないかい?という感が否めませんが(笑)。

ポニョのお母さんしか思いおこせない。

 

ともかく。

私にとって最も親しみ深く素晴らしいオーケストラであるアンサンブル金沢、垣内悠希マエストロ、テノールの西村悟さん、という豪華すぎる共演者を得ての、地元公演。

しかも大好きなフランスオペラ三昧を歌うということで、とっても嬉しい里帰り!!

 

プログラムは、前半にベートーヴェン交響曲第5番「運命」他、オーケストラの曲が聴けて、後半はオペラ、という盛りだくさん。

西村さんと私とで色々出し合ったところ、

グノー

トマ

マスネ

サン=サーンス

ビゼー

というフランスオペラ名作曲家5人衆揃い踏み。

(あ、「5人衆」は今勝手に言ってます)。

 

ビゼーカルメン》は言わずもがな、皆さん楽しんでいただけるだろうな、という選択で。

あとは、地元だということで、想いを込めて歌えそうなトマ《ミニョン》の「君よ知るや南の国」を久々に歌えるのが楽しみ。

この「ミニョンの歌」はゲーテの「ヴィルヘルム・マイスター修行時代」の中にある詩で、日本でも森鴎外堀内敬三などの訳詞が知られていて、様々な言語で様々な名だたる作曲家が曲をつけております。

私が好きなのはドュパルクとチャイコフスキーかな。

もちろん、このトマ作曲のオペラ《ミニョン》のアリアも大好き。

 

どんな内容かといいますと、

 

あなたは知っているかしら?

オレンジの花が咲く国を

金色のフルーツが実り、真っ赤なバラが咲いて

風は優しく、鳥は軽やかで

一年中蜜蜂たちが飛んでいるの

 

お日様の微笑みは神様の祝福のよう

永遠に続く春、ずっと青い空

 

ああ!そこにあなたと行けないなんて

幸せな岸辺

私が運命に追放された場所!

 

そこで私は生きたい

そこで愛して、死ぬのよ

私はそこで生きたいの

そう、そこで!

 

 

あなたは知っているかしら?

遠くで私を待っているお家を

黄金の広間には、大理石の像がいて

夜になると私を呼び、私に向かって腕を伸ばすの

そして中庭の大きな木の陰で踊るのよ

 

透き通った湖の水面を滑ってゆくたくさんの小舟は、まるで鳥たちのよう

 

ああ!そこにあなたと行けないなんて

遠い故郷

私が運命に追放された場所!

 

そこで私は生きたい
そこで愛して、死ぬのよ
私はそこで生きたいの
そう、そこで!

 

 

楽しく訳しているうちに金沢に着きました(笑)。

夢のように美しい曲です。

遠い故郷

て歌うわりに、歌う場所は私のズバリ生まれ故郷ですが、まあ、良いでしょう!!

 

まだチケットはあると思いますので(たぶん)、ぜひぜひ、日曜日、ふらりと石川県能登の都、七尾へいらしてくださいませ。

最近は国内、国外を問わず観光で訪れてくれる方々も非常に多くて、私も故郷の良さを再発見するためにじっくり観光もしたいなあ、なんて思ってます。

 

ところで。

私といえばうっかり、忘れ物、無くし物......。

 

今日は不安のあまり詩人になってしまいました。

 

今のところ、気が付いた忘れ物は本番で履く靴...。間違えて稽古場で履く用の靴を持ってきました...。

いっそフラメンコシューズを持ってくれば良かったのに...。

きっと他にも忘れ物あるけど、確かめたくない...。

 

とりあえず金沢の街に繰り出して。

どうしても食べたかったものを入手!

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香箱蟹〜〜!!

ホテルのお部屋でひとり、黙々と食べました(笑)

次回石川に戻ってくるときにはもうシーズンが終わっているので、食べれてよかったー。

さて、明日は朝からリハーサル。

マエストロ稽古で使う楽譜は持ってきた...かな?

確かめるのが怖い...。

 

 

 

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート稽古開始!あと、ここ最近。

ここ最近。

10月後半の本番ラッシュが過ぎたにも関わらず、日々が充実しているというか...充実させすぎていて逆にやるべきことができていないというか...。

試しにスマホのメモにto doリスト的なものを書こうとしたらたくさんありすぎてスマホぶん投げそうになりました...。

ちなみに今日の充実度もなかなか。

午前中に息子の小学校で公開授業と作品展があり、息子の普段の学校での様子を初めて見学。

(朝最初から見に行こうと思ったのだけど、譜読みが間に合わず三時間めから)。

午後は稽古で「すみません」を100回くらい言って。

(結局譜読み間に合ってない)。

夜は私が稽古の間我が家で遊んでいてくれたママ友ふた家族とご飯。

(息子を見ていてくれた上にご飯も作ってくれるという天使か妖精さんのような友人たち!)

 

そんなこんなで、書くべき書類とか、出すべき資料とか、返事すべきメールとか、かけるべき電話とかがね...。

私がナマケモノすぎるだけなんですけどね...。

まあ確かに、整理された人生ねえ...。いいんでしょうねえ............。

 

さて、そんなダメな私がローマ神話最高峰の女神、「神々の女王」こと、Giunone(ジュノーネ、はイタリア語で日本ではユーノー、ジュノーとか)役を歌うのが(笑)、昨日から稽古が始まりました、こちらのコンサートの、

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート〜米寿を記念して〜 2016年12月1日 | JOF 公益財団法人日本オペラ振興会

演目のひとつである、ロッシーニ作曲のカンタータ《テーティとペレーオの結婚》。

 

昨日から稽古が始まり、頑張って間に合わなかった譜読みは、昨日の稽古で新たに園田マエストロからいただいたバリエーションだった、というわけです。

世の中にメゾソプラノ数あれど、こんなにロッシーニが得意ではない(控えめに言って)にも関わらずこんなにマエストロ・ゼッダと共演しちゃってしまっているのは私だけなんじゃないか、と思うくらいで...本当に有難いんですけれども......。

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前列右から。

ペレーオ役のテノール中井亮一さん。

ゼッダ神と我々を繋ぐ神官マエストロ、園田隆一郎さん。

後列右から。

ジョーヴェ役、テノール角田和弘さん。

ジュリエッ...ではなく、チェーレレ役の光岡暁恵さん。

ジュノーネ役、私。

昨日、今日と稽古ピアノを務めて下さった星和代さん。

皆、神の降臨を前に緊張感が口元に出ています(笑)。

私から見ると「ロッシーニ?軽い軽い!」と思っていそうな暁恵ちゃんや中井さんでもそうなんですねえ。

いや、できるからこそ余計に緊張感があるのかもね。

しかし、最初から自分なりにやるしかない、と、ある意味半分諦めている私でも、以前、小荘厳ミサの稽古初日、歌っている私にズンズン迫ってきたマエストロ・ゼッダの目は忘れられず、やはりあの人が来る!!と思うと身と心が引き締まるのです。

その時の様子↓(中井亮一氏撮影)

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ゲーマーな私としては、画像右上あたりにパニックメーターが見えるよう。

アイテムのラベンダー使わなきゃ!みたいな。

 

本日、2日目の稽古にはテーティ役の佐藤美枝子さんも参加して、昨年のランスへの旅の時に続いて超絶テクニシャンソプラノ2人の競演!!

《ランスへの旅》7/3&5 日生劇場 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

これは、聴かねば損です!!!

公益財団法人 日本オペラ振興会 The Japan Opera Foundation - タイムライン | Facebook

 

 

さてさて、ゼッダ神来日(降臨)の前に、来週末、こちらのコンサートも!

イケメン指揮者、イケメンテノールと名高いお二人との共演で、地元女子のハートに貢献!!

大好きなフランスオペラのアリア、カルメンハイライト、というめいっぱい羽根が伸ばせるプログラムです!!


折しも石川県では加能蟹、香箱蟹が解禁。

ぜひぜひ、カニとオペラを楽しみに、日本海の港町、私の故郷七尾へお越しくださいませ。

12/1のアルベルト・ゼッダ スペシャルコンサートと合わせてのチケットご購入で.......本当にそんな方がいたら、カニを一緒に食べて私が剥きますね。

ぜひ!(笑)

 

「アントニ・ヴィト&読売日本交響楽団」フランス尽くしのコンサート、終演!

お題「芸術の秋」

 

東京芸術劇場、世界のマエストロシリーズvol.4「アントニ・ヴィト&読売日本交響楽団」 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

残念ながら先週末が終わってしまいました...。

麗しのフォーレ&フランス音楽の日々...。

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終演後、マエストロ・ヴィトと。

急な代役にも関わらず、プログラムを一曲たりとも変えず...。特に私が歌った”メリザンドの歌”はめったに演奏されない曲で、マエストロも初だったとか、洩れ聞きました。

プログラムはこちら。

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フォーレの《ペレアスとメリザンド》を、この”メリザンドの歌”を入れたバージョンで、と、冒険?して下さった東京芸術劇場さま、それをOKしてくれたマエストロ・プラッソン(元気になってください!!)、歌うのは私がいいんじゃないかと思いついて下さった方、緊急事態にそのままのプログラムを引き受けて下さったマエストロ・ヴィト、もちろん共演の読売日本交響楽団さま、聴きに来て下さった皆さま、感謝すべき方々が多すぎてどこに足向けて寝ていいか分かりません!!

 

リハーサル中、マエストロ・ヴィトが”メリザンドの歌”を「大丈夫、好きに歌って!誰も知らないから」なんて言ったりもしたんですが!(さすがマエストロWit!笑)、残念ながら?この、フォーレの《ペレアスとメリザンド》、こちらの名盤にしっかり”メリザンドの歌”が入っているし、誰も知らなくはないのですよー。笑

フォーレ:「ペレアスとメリザンド」(管弦楽曲集 2)

フォーレ:「ペレアスとメリザンド」(管弦楽曲集 2)

 

私もこれ、当然持っておりまして、密かにマエストロ・プラッソンにサイン貰おう〜、とかミーハーなことを思っていたので残念でしたが...。

 

しかし、代役でまさかのこの巨匠。

(まあ、世界のマエストロシリーズなわけで、意地でも巨匠を探し出さねば、というのはあったと思いますが)。

老...ではなく、人生の大先輩指揮者好きな私としてはたいへん良い思いをさせていただきました!!

 

そうそう、そんな老...ではなく人生の大先輩指揮者好きな私が12月に挑むのは、こちらのコンサート!このマエストロ!!

ヴィト氏より16歳上のゼッダ翁!いや、ゼッダ神!?

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ぜひぜひお越しください...。

 

話を戻しまして...。

ゼッダ氏に比べればまだまだお若いヴィト氏。「華のある職人」と言った風情のマエストロでした。

 

 「歌手」も「歌手」としてではなく、組曲のいち構成要素として(ある意味楽器のように)存在して欲しい、という意図を、はっきりそう言われたわけではないながら空気が読めるメゾソプラノでお馴染みの私、完全に理解しました(笑)。

1st.バイオリンと2nd.バイオリンの間、という初めてのポジションで《ペレアスとメリザンド》曲中、歌う前、歌ったあとも待機。

”メリザンドの歌”の時だけマエストロの真横に歩み出て歌う、という、段取り。

この色で黒尽くめのオケ中にいるので落ち着かないといえば、かなり落ちつかない...。

待つ間の椅子の角度もしっかりマエストロ向きだし、目が合いまくり(笑)。

あとで友人知人数名に「待ってる姿勢が異様に良かった。笑」と突っ込まれましたが、最初、かなり緊張してましたから!!

途中からかなり慣れてその珍しい位置から聴くオーケストラの音に酔い始めて「なんか変なこと考えてたでしょ?恍惚としてたよ」という鋭い?!指摘もいただいたり...。

翌日フラメンコの先輩にその話をしたら「パルマ(フラメンコの手拍子)叩くわけでもないのにねえ」と言われましたが、まさにパルマ叩くとしか思えない佇まいだったと思います、我ながら。

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(参考)

 

一応ソリストとしてマエストロと一緒に最後に舞台に出たものの、歌手が普段座るようなところでないところに私が座ったので、たぶんお客様の中にも「まさかあの位置から歌うのかな?」とか、 思った方がいるかも。

というのも、私が歌うために前に出たら、明らかに「そうだよね」と、ほっとした顔をした人がたくさんいたから(笑)。

とてもゆっくりな曲だからか、会場全体と一緒に呼吸をしているような一体感も感じました。

いくら「楽器でいよう」と思っても、やはり良くも悪くも...歌手は歌手なんだなあ、と思ったり。

あまりにも「楽器ではない」歌手にはなりたくないな、という気持ちは昔からあるんですけど。バランスですねえ、何事も。

ともかく!

良い経験をさせていただきました!!

 

本番から2日たち、まだまだシャワー下で口ずさむのは”メリザンドの歌”。

ちなみに歌詞は意外にも英語で。

”The King's three blind daughters”

(三人の盲目の王女が)

とてもミステリアスで美しい曲。

また歌う機会があるといいなあ!

 

 

さてさて、先ほど12月1日の公演のチラシを出しましたが、その前に、石川県七尾市での公演があります。

オーケストラアンサンブル金沢さま、テノール西村さんとは何度も共演させていただいていますが、垣内マエストロとは初共演。

札幌に旅立つ直前、お忙しいところを打ち合わせに寄っていただき、初めてお会いしたのに、なんだか前から存じ上げているかのように思わせてくださる穏やかさで、この方なら私の田舎、ど田舎の「七尾」を楽しんでくださるに違いない、と、ほっとした次第でした。

テノール様は大丈夫かなあーーー(笑)。

もちろん私も歌いに行くんですけど、おもてなしもしなければ、という気持ちになるのは超地元だからかな...。

ナマコとかクチコとか、花嫁のれんとか、好きかな?みんな...。

 

私も久々に地元、和倉温泉の湯に浸かりたい!

この機会にぜひ、新幹線と在来線を乗り継いで能登、七尾へいらっしゃいませんか?

 

お待ちしております。