mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

入間第九と熊本第九。

お題「好きな街」

 

現在、熊本での本番納めを終え、えっちらおっちら、6時間かけて新幹線で帰京中。

4時間は済んで、あと2時間ですけどね。

行きは飛行機だったんですが、石川県からの里帰りを兼ねて熊本で合流した母と、帰りは新大阪まで一緒に旅しましょう、てことで、新幹線。

こげんこつ長か旅とは(笑)!

いや、前にも何度かやってるし、もちろん知ってるんですけど、本番翌日で、あちらでは何だか感極まり通しであんまり眠れなくて、といつ、様々な状況下により...。

 

ちなみに去年は北で仕事納めだったんですねー。

いちのせき《第九》。2015仕事納め!! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

今年は南の熊本で納めて。

次は土佐?なんて書いてましたが、順番的には次は北納めかな??

熊本より、メリークリスマス!!(多摩ジュニア・ミュージカル、クリスマス会!) - mezzosoprano 鳥木弥生blog

 

大感動だった熊本第九の前に、書きそびれていた少し前の、入間第九の話も...。

いや、入間では感動が無かったとか、そんなでは無いのですが!!やはり今年熊本に第九を歌いに行けたことは特別で。すみません(笑)。

 

とはいえ、入間市第九も、来年からは校舎が全面移転し、通う事もなくなる母校のホールで最後に歌えたという感慨もあり。(会場だったバッハザールは残るようですが)。

その上、市制施行50周年!!!

打ち上げではとってもお話上手で偉ぶらない、爽やかな市長さんともお会いできました。いいぞー、入間市!!!

週2で通う入間市での宿泊、という珍しい経験もさせていただき、食いしん坊のソプラノ伊藤晴ちゃん、モコミチくらい小顔でスタイルが良く横に並びたくないテノールNo.1古橋郷平さんとの親交も楽しく。

バリトン谷友博先輩はご近所さんのため宿泊はご一緒しませんでしたが(笑)晴ちゃんと共に先日のオーチャードに続く共演で、堂々の美声にまた改めて聴き惚れました〜。

 

昨年参加の「所沢第九」に続き、衣装屋さんのマーガレットさんによる貸与付きだったので、また普段着ない感じのドレスを着れたのも楽しかったです!!

音大生・音楽家専門 レンタルドレス マーガレット

 

さてさて、そんなマーガレットの肝っ玉ママとも実は熊本ルーツ繋がりなんですが。 

 

第33回熊本県民第九!!

本当に、素敵な演奏でした。

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左から。

バリトン牧野正人さん。大先輩で、オペラでもコンサートでも何度も共演させていただいている大天才歌手。お見本のように滑らかな歌いぶりにちょい悪エッセンス?が加わるところが凄いのです。やはり第九でもそんな魅力がたっぷり。

ソプラノ西森由美さんは初めましてでしたが、熊本出身の血で、あっというまに近しく感じて(笑)。美しく流れ溢れる声がとっても合わせやすくて、お隣で歌うのがとても気持ち良かった!

指揮者の金洪才さんは、この写真のお顔のようにクールな方かと思いきや、確かにクールでもあるんだけど、楽器ひとりひとり、合唱もふくめて歌い手ひとりひとり、更に観客ひとりひとりと、軽やかにお喋りするような、コミュニケーションが止まらない指揮で、舞台上にも、客席にもまさに「歓喜」を振り撒いて下さいました。

そして、横に並びたいテノールNo.1(笑)馬場崇さんとは、たぶん12年くらいぶりの共演??

変わらない豊かで柔らかい声と繊細な音楽に、更に渋みが増していて素晴らしかった〜。

やはりお隣でとっても歌いやすかった!

個性それぞれなソリストたちに囲まれて中間管理職的に悩む事もあるアルトソロですが、これほどすんなりと、自分の居場所を見つけられるアンサンブルは私史上初でした。

それは共演者や聴いてくれた方々にも伝わったようで、とっても嬉しく。

 

何度も書いております通り、私は半分熊本人。母の実家が熊本にあります。

母は熊本産業交通の元バスガイドで、観光に来た父と出会いました(足首がキュッとしていたのが良くてナンパしたそうです...)。

祖母はしばらく前に亡くなりましたが、昔っから明るくて楽しくて大好きなおじ、おば、いとこなど親戚たちも熊本におります。

その話をし始めて打ち上げで軽く醜態を晒しましたが、今年4月の震災の折にはスペインにいながら皆が心配でたまらず!

珍しく緊張したのは、オーケストラもすごく良い感じに熱を帯びた演奏で、この演奏に応えなくては、と思ったからで。

前日リハーサルのあとで牧野さんが「ホルンのソロとか失敗するとほっとするよね〜」と話していたのですが、そのようなこともなかったし(笑)。

ちなみに、やよぴーetc.と言ったのは10年以上前にご近所に住んでいて良く一緒にカレーやラーメンを食べた馬場氏。

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時を経て、熊本でまた一緒にラーメンを食べれたのも感激でした(笑)

 

今朝、出発前には震災後、5月に亡くなったおじの仏前にも手を合わせられたし、熊本駅くまモンの巨大頭とも写真撮れたし。

 

できればあと2、3日ゆっくりしたかったのですが、それはスケジュール的に叶わず。

またここに戻らなければ、という思いとともに、それでも充実した気持ちで帰途に着きました。

 

さて、そろそろ、長か旅も終わり〜。

東京都内に入りました。

 

本番は納めましたが、まだ来年のための稽古が続きます。

今年も、あと少し、お付き合いいただけましたら幸いに存じます!!

 

熊本より、メリークリスマス!!(多摩ジュニア・ミュージカル、クリスマス会!)

良い子にしていたのに、サンタさんは来ませんでした。自宅に来てるかな??

でもお手紙も書き忘れたしな......。

お題「サンタさん、これください」

 

先日、多摩ジュニア・ミュージカルのクリスマス会で清水生子さんが朗読してくれた”急行「北極号」”に感動して、ちゃんと信じていたんだけどなー??!

 

急行「北極号」

急行「北極号」

 

 そのTJMクリスマス会が23日で、翌日クリスマスイブの朝に熊本へ飛んだので...まあ、1日だけでも可愛い子供達とクリスマス気分を味わえたから、それがプレゼントだったかな。

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オッシー(バリトン、押川浩士さん)

ゆうこりん(ピアノ、赤星裕子さん)

と共に、

TJMは子供達の未来を見つめています

的な(笑)。

いや、本当に見つめていますよ〜!!

みんなで歌って騒いで、ややぶっつけ開催ながら、ママたちが集まるとすごいな!ママ万能!!(私以外)と実感させられる、素敵な手作りクリスマス会でした。

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よく見るとなぜかゆうこりんはクリスマスと関係なく白ネコ♡

クリスマスメドレーや、オッシーによる、次回TJM発表会の演目「美女と野獣」からのナンバー、私はトナカイ姿で大真面目にバッハ=グノーのアヴェ・マリアも歌い、けっこうなシュールさ(笑)

みんな意外な真面目さで聴いた朗読とコンサートのあとは、お楽しみのおやつ!

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手作りケーキも美味しすぎ。

ダイエット終了後で良かった〜〜!!

 

2015年4月に設立したTJM。

来年で足かけ3年め?!

仲間もどんどん増えております。

これからも舞台人として一緒に愉快に、楽しんで成長していきましょう〜〜!!

多摩ジュニア・ミュージカル

 

さてさて、鳥木先生は(笑)、こちら、母のふるさと熊本で(本番としては)仕事納め。

 

昨日は到着して少し時間があったので、普段親戚を訪ねてきてもなかなかやらない、観光のようなものを少し...。

前回熊本に来たのは昨年末だったので。

母の故郷へ。能登〜九州親子三代旅part3 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

震災後、初めての来熊です。

熊本交響楽団のホルン仲間?さんが、益城にある空港まで来てくださったので、車窓から被害が大きかった街の様子を見て、当時の様子を色々教えていただき...。

母の故郷であり、父との出会いの土地、いわば私のルーツである熊本、若い父母の白黒の写真から、私が子供の頃までの家族写真にいつもあった熊本の街、そして熊本城の、今の様子。

映像や写真で見るのとは違う衝撃がやはりありました。

こんなに写メ大好きな私ですが...熊本城の崩れた姿にはレンズを向ける気持ちもなかなか起きず...。

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イタリアの遺跡のようなこれは、城壁の石を並べて整理しているところのよう。

こうして少しずつでも、この街を大切に思う人々の力で、いつか元の姿が見られると信じています。

大昔の白黒写真から順番に、親戚、家族たち、熊本城の城壁をよじ登ってる写真がたくさんある気がするんですよね。

近年も可能だったのかな?

いつかまた可能になったら息子とよじ登ってやるからな!待ってろ、熊本城!!!

 

そうそう、戯れに引いた武将おみくじですごい偶然があったり。

 

来年は長曾我部元親のお膝元、土佐あたりに第九で呼んでいただけるのではないかと、期待しています。

 

それでは皆さま、

良いクリスマスを!! 

全国共同制作プロジェクト《蝶々夫人》稽古、記者懇親会&フォトセッション!


https://www.geigeki.jp/performance/concert099/

来年1月22日の金沢初演から、2月の東京までの5公演に向け、春のスペイン以来のスズーキ。

先週は、1月から本格的に始まる稽古の前哨戦でありながら、すでにみっちりと濃い一週間でした。

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公演の記者会見も行われ、公演地のひとつである高崎の達磨さんに全員で目入れも!

こちらはイタリア語通訳で駆り出された我が夫撮影の写真ですが、一応、まだ片目の達磨さんに合わせてウインクしたつもりで(笑)、里美ちゃんと笈田さまが密かに付き合ってくれています!

皆様のご紹介はこちらの記事で。

笈田ヨシが日本でのオペラ初演出! プッチーニ歌劇『蝶々夫人』記者会見レポート | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス

こちらにはナチュラルボーン自撮り棒な私の腕も(笑)

来年1月22日に金沢歌劇座で開幕する全国共同制作プロジェクト、オペラ《蝶々夫人》(... - クラシック音楽情報誌 「ぶらあぼ」 | Facebook

ちなみに自撮りの出来上がりはこちら。

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夫撮影のこちらの角度だと更に自撮り棒の長さが(笑)!

あ、そういやぶらあぼさんの写真にはこれを撮ってる夫が映り込んでたなー。

 


演劇人として素晴らしいキャリアを持つ演出家の方とご一緒するときには、ついついビクビクしながら聞いてしまうのが、この質問。

 

「オペラ歌手の演技力の低さにイライラしませんか?」

 

しかし、私がこの質問をしたくなるくらい敬意を払いたくなる演劇人の方々の答えはだいたいいつも同じ。

 

「オペラの演出に必要なのは忍耐ですので」

 

オペラ歌手に期待してイライラしても無駄だと分かって下さっている!!

逆に「オペラ演出家」の人ほどオペラ歌手への期待値が高いのか、イライラしている姿もよく見るような...。それはそれで優しいのかもしれませんが(笑)。

 

笈田さんはオペラの演出も海外ではしていらっしゃっているのでもちろんオペラ演出家でもあるのですが、やはりまずは俳優として偉大すぎて...。

 

見せてくれる見本がもう、凄いのです。


この数日間で笈田さんに言っていただいたこと、実はまだ消化しきれていないのですが、今朝、ふと歩き方について言われた言葉がするっと身体に表れた気がしたりもして!

次にお会いする1月までにきっと消化しきってみせましょう!(本当かなあ...)。

 

そう!音楽的にも消化しなければいけない宿題も、マエストロ・バルケからたくさんいただきました。

 

いやー、私より5歳若いのだけど、本当に優秀...。オーケストラからの信望が非常に熱かったことが今回の再来日の大きなきっかけだそうです。すごい!

実は私の息子と同じ年の子供もいてですね。

あと、料理もすごく上手らしい!!

1月〜2月に戻ってきた時には手料理をご馳走してもらう約束をした!!

 

さてさて、そんな恐ろしく充実したスズキ稽古をしながら、なんと恐ろしいことに稽古前は大学勤務で生徒とイタリア歌曲などを歌い、稽古後は某所でカルメンを歌う、というトリプルヘッダーな日が数日間あったのですが...。

それで気がついたんですよ。

私、カスタネットはまあまあ上手に叩けるのに、これが上手に叩けない!!!

蝶々夫人の二幕あたま、まさにカルメンカスタネットよろしく、ちゃんと楽譜にスズキのパートとして書いてあるんですよー。

 

 お題「演奏できる楽器」

 

これ買って練習しようかと本気で考えています。

本当に、良い舞台にしたくて。

できることは何でもしたい気持ち。

 

「舞台では誰がいい芝居するか勝負で良い。蝶々さんより目立たないようにと大きい身体を小さくするな」

「余計なことをしないのは正しいけど、それでただジッとするなら、それは”ジッとする”という余計な選択」

 

その他、まだまだまだまだまだまだ、色々言っていただきました。

で、

「せっかくだから良いスズキ作りましょうよ」

と。

望むところです!!!

 

自分の必死な話ばかりでしたが、素晴らしい共演者の方々についてもご紹介したいことがたくさん...。

 

またお付き合いいただけたら嬉しいです。

 

全国共同制作《蝶々夫人》初日は1月22日、金沢です!!

【金沢公演】プッチーニ歌劇「蝶々夫人」

 

今年の初第九。来年のバタフライ。

お題「今日のおやつ」

 

一応ダイエット中なんだけど(笑)

売り切れでお詫び文が出るほどのプリンとあっては...!

小川里美ちゃんの「見つけたよ!」と嬉々とした声を聴いては...!!

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昨日は本番だったし、少しくらいのカロリーは

......いや、第九のアルトソロではプリン一個分消費したかどうか......。

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終演後!

先日、ドレス事件があったのと同じ場所で(笑)。

左から

テノール、大澤一彰さん

ソプラノ、伊藤晴さん

指揮、北原幸男さん

バリトン、谷友博さん

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート終演!〜あるいは危ういドレス事件 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

ちなみに、今回のハプニングはこちらでしたー。

本物の第九の楽譜の方はまだどこにあるか分かりません!!(笑)

きっと私がLes nuits d'été を歌う本番の日に出てくるのでしょう...(予定ないけど)。

 

さてさて、本日より稽古開始しました4都市共同開催《蝶々夫人》。

https://www.geigeki.jp/performance/concert099/

来日したばかりのマエストロ・バルケ、ピンカートン役のデ・カーロ氏も、もちろん演出の笈田氏も寒さを吹き飛ばす熱量。

やはりプッチーニの音楽は人を熱くするんでしょうねえ...。

私はそうでもないけど(笑)。でも、聴く人、観る人は熱くしますよー!!

 

 

来年1月の金沢から2月の東京まで。

春のスペインでの8都市10公演には及びませんが、4都市5公演(ちょうど半分だ!)、魅力的なキャスト、音楽スタッフ、舞台スタッフに囲まれてしばらく稽古場、本番レポートが止まらなくなりそうなので、お付き合いいただけましたら幸いです。

そして、ぜひ、公演にもお越しくださいませ〜。

金沢、大阪、高崎、そして東京での公演です。

東京では、2月18日に小川里美さんのバタフライ、2月19日に中嶋彰子さんのバタフライが聴けてしまうというスペシャルな2公演!!

目移りした人は二日連続でどうぞ!!!

 

師走の奔走の合間、弥生、美術館に行く。

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弥生美術館・竹久夢二美術館

現在山岸凉子を開催中の弥生美術館、なんとかスケジュールの隙間を1時間半見つけて行ってきました!!

もっと時間あった方がいいかな?でもこじんまりした美術館だし...と迷いつつ、でもその日を逃したら行けないままになりそうで...。

 

結果、やはり時間はもっと欲しかった......。

 

初めて見る山岸凉子さまの原画は涙が出るほど美しくて...ていうか本当に涙が出ちゃって!

恥ずかしいから堪えていたのに、2メートル先にズビズビ涙と鼻水をすすっているお仲間がいて(笑)、つられて溢れてしまいました。

お題「最近涙したこと」

 

代表作の「アラベスク」「日出処の天子」はもちろん、他の作品も大好きなものばかりで、年表やコラムとともに展示されている原画たちを見て、

 

へー、この、大学生だった私が感動しまくった深〜い作品を書いたのはスランプの時期だったのか!

 

とか、

 

ギリシャローマ神話は幼い時から好きだったけど、山岸凉子作品ではまってケルト神話、日本神話について読みまくった時期もあったなあ!

 

とか、

 

この絵、めっちゃ真似して描いてたわー。

 

とか。

 

没頭していたらあっという間に1時間半が過ぎていました。

撮影可コーナーには、等身大の厩戸王子!

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とにかく、来ているのは私も含め100%大人の女性おひとり様で、こちらのパネルの前でも2ショットを撮りたそうなおひとり女性がいたので、「撮りましょうか?」と声をかけると嬉しそうに隣に並び、

いや!なんか恥ずかしい...王子と...

みたいになってらして、

(大丈夫ですかー。絵ですよ〜〜!)

と、思いながら「バッチリお似合いですよー」とハイテンションで撮影し、私も同じ感じになりながら王子との2ショット、撮ってもらいました(笑)

恥ずかしいので出しませんけど。

 

そして、ミュージアムショップではまたひとしきり何を買うか悩み...。

 

画集やクリアファイル、一筆箋、チケットホルダーなどを購入しホクホク♡

 

舞い散る銀杏の葉の黄色を踏みしめながら、弥生美術館のある東大前から、昨年まで東大に通っていた知性派チェンバリスト、水野直子さんのスタジオへ、合わせへ。

久保田彰チェンバロ工房主催 17世紀イタリアンチェンバロ 完成お披露目コンサート

 


古典音楽の世界は、神話が題材の作品も多く、私の頭の中では山岸凉子作品とも割と近い場所に整理されている感じ。

あと。

歌の道は、高嶺の花の異性を求める恋愛に似ている

と、常々主張しついる私にとって、山岸凉子作品に出てくる、与えられない愛を求める人々の苦悩する姿(エーディクとか、カレンとか、王子とか、刀自古とか...)は、遠い昔の麗しい音楽を、憧憬と試行錯誤、真心と作戦で何とかモノにしようとする(笑)自分の姿そのもの。

 

なかなか筋の通った1日だったのです!

 

さて、これから3月までの様々なオペラの稽古をこなしつつ、第九を始めとする本番たちもある、年末まで。

まず明日は先週も歌ったオーチャードホールで、

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート終演!〜あるいは危ういドレス事件 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

今年初めての第九です!

心の綺麗な方にはよーく聴こえるアルトソロ(笑)、心を込めて歌います!!!

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート終演!〜あるいは危ういドレス事件

最初に書いておきますが、個人的なハプニング話が中心なので、ロッシーニやゼッダに関する興味深いお話を期待する方はお読みにならないほうが良いかも(笑)。

「マエストロ、我々からプレゼントがあります!」

と言われたときのゼッダ氏の答えは、

「歌手がちゃんと歌ってくれるのが一番のプレゼントなんだけど」

というある意味キッツイひと言でしたが......。

それでもちゃんと着てくださいました、黄金色のちゃんちゃんこ

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お題「プレゼント」

 

さて、色々な名言も飛び出した、濃密な稽古期間を超え、一昨日、「アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート」カンタータ《テーティとペレーオの結婚》&《スタバト・マーテル》が終演。
一昨日?なんだかもっと遠く昔に感じるのはゼッダ氏のちゃんちゃんこ姿が「昔、昔、あるところに...」っぽいから??

 

当日は、奇しくも?マエストロのこの↑名言がいかに大切かを見に染みて感じることになりました。

そうしないと、それを超えてアーティストとして歌うことは出来ないよ、人前で歌うときにはすでに喉が正しい音を知った状態、コントロールしなくて良い状態で歌うんだよ、という教えだったわけですが。

 

当日の私、舞台に登場してすぐのドゥエットはまさにノーコントロール、オートマチック.......。

 恥ずかしい話ですが、理由、書きます(笑)。

 

前回オーケストラ合わせのお話の時に書きましたように、この稽古期間で私はゼッダ氏に吸い取られてどんどん痩せていっておりました。

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート、オーケストラ合わせ! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

テレビ収録もあるらしいし、痩せて良かった、なんて、思いつつ、今回私が選んだドレスはフィレンツェの美人マダムデザイナー兼お針子のナダさんに作っていただいたお気に入り。

10月にも着たので、

「あれから太ってはないから入らなくないはず」

という安心感で試しに着ることもせず。

そしたら、なんと、当日楽屋で着てみたらドレスがブカブカ!!うれしい悲鳴(笑)!!

なんですが、実際困る!!!

こういうドレスだったんですが(笑)、結局、上のピラピラで見えない胸部後ろあたりの背中部分をつまんで安全ピンで留めて急場凌ぎをしたわけです。

それもあとで光岡暁恵さんから聞いた衣装さんの名言があるんですが。

「安全ピンは安全じゃない」

覚えておいてください(笑)。

 

舞台裏に早めにスタンバイした暁恵ちゃんと私は、その日までゼッダ神のもとで切磋琢磨した同志の奏でる音楽を聴きながら、非常に和やかに気合いを充填していて、私が出番前の舞台裏でだいたいいつも小さい声で絶叫している(笑)「STR◯NZ◯OOO!!!」に、今回もゼッダ神と我々を繋ぐ神官として活躍された指揮者の園田隆一郎氏が「VATTENE VIIIAAA!!」などと呼応してくれたり、いい感じの出番前(笑)。

そして、私達が歌うドゥエットの前の合唱曲。

ステージマネージャーさんから、そろそろ、と声がかかり袖近くへ。

続いて私達の曲の前奏が始まり、あと6小節で出番、と、舞台袖にスタンバイした瞬間、あの背中の安全ピン、いや、不安ピンが、私の気合い溢れる呼吸でパチン、と音を立てて弾け飛んだのです!!

とっさに周りをみると、ステージマネージャーさん(男性)、園田さん(男性)...。

非常に申し訳ないながら、

「暁恵ちゃん!ごめん!安ピン外れた!」と声を出したのが出の5小節前。

楽屋が同じで私のドレスブカブカも知っていた暁恵ちゃんが安ピンを受け取り、私の背中に回りこみ...。

4小節前...3小節前...

「OK!」

と、一旦解決をみて、気合いを入れなおそうとしたのか、暁恵ちゃん、いきなり園田さんと手を重ねはじめ、三人で円陣!!!?笑

2小節前...

「よし!!」

舞台に向かう。扉が開く。

1小節前...

パチン...

背中でまた(不)安ピンの外れる音...

「ダメだ!」

「え?」

「でも大丈夫!」

「うん、大丈夫!」

 ぜんっぜん大丈夫じゃない状態で舞台へ(笑)

最後に外れた安全ピンを邪魔にならなさそうな場所に置いた自分の左手の指、キラキラのネイルが目に焼き付いて...

 

あとは、しばらく記憶無し!!笑

 

冷静か、冷静でなかったか、で言えばもしかしたら怖いくらい無心で冷静だったような気もするし。

 

結局、まさに首の皮一枚でドレス落下を防いだのは、一応ね、と思って胸部前面でドレスと下着を止めて置いたこれまた小さな不安ピンふたつでした。

弾けるかもしれない。

または、逆にドレスの重みで下着ごと落下とか.......

私の斜め上、割と近くに4カメさん...(笑)

 

これらの雑念、そして「暁恵ちゃん、すまんかった!!」

という思いが生まれたのは、ドゥエットが終わり、次の暁恵ちゃんの大アリアを聴きながら、ようやく、でした。

まあ、暁恵様は当然ながらそんなハプニングはモノともせずに大アリアを歌い。

フィナーレは私も意識がある状態で(笑)歌い、《ランスへの旅》を思い出すベルカント女王対決を楽しみ、会場との一体感も感じながら大団円を迎えることができました!

《ランスへの旅》7/3&5 日生劇場 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

(懐かしい!!)

 

詳細はまだ知りませんが、後日放映がありますので、私自身もどれだけ歌いながら目が泳いでいるか、楽しみです......!!


《スタバト・マーテル》組とはお互い余裕がなくてあまり交流できませんでしたが、暁恵ちゃん、向野由美子さんとの三人楽屋、メイクの濱野さんも含め、素敵女子に囲まれて居心地最高でした!

私の息子がチョロチョロしているのも快く許してくれる、どころか、すごく優しく相手をしていただき、大感謝です。

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三人写真、楽屋での門外不出ショットしかないのが残念!!!

そういえば、本番中、会場に郡愛子さんの姿を見つけて失っていた気を取り戻した気もします...。


たぶん二度と歌うことはないだろうな、と思われるこの作品。

大作曲家の知られざる名作(あるいは駄作)が大好きな私として、そして子供の頃からギリシャローマ神話に夢中だった私としても、とても楽しかった!!

選べるのであるならば、ジュノーネ(ヘラ)よりもアテナかアルテミスがやりたいけど(笑)。

あと、ヴェルディビゼーかマスネの知られざる名作(あるいは駄作)だったらもっとやりたいけど!?

「生まれ変わったらシンクロ」は、特にそれまでも思っていたわけではなく、となりに座っていた暁恵ちゃんの顔を見たらふと口をついて出た思いつきで。もしかしたら逆に前世で暁恵ちゃんとシンクロペアだったのかもね(笑)。

前回《カプレーティ家とモンテッキ家》からの連続コンビでしたが。

藤原歌劇団《カプレーティ家とモンテッキ家》終演! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

お互い全然飽きずに付き合えて(笑)、ずっと面白かったねー。

私のロッシーニの女神さま、佳子ちゃんからも「ハモリ完璧」との評価いただいたよ!(私は覚えてないけど!笑)

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有志による打ち上げはオーチャードホールから怪しげな建物が立ち並ぶ坂を登り(笑)徒歩2分の名店「焼肉どうげん」にて。

相変わらず美味しかった......。

俳優でもある店主の金さんと、当日の楽屋仲間での一枚!

金さん、かっこいい!!いつかカルメンのリリアス・パスティア役をお願いしたい!!!

 

そんなわけで、ゼッダさんに吸い取られた精気をしっかり取り戻し、たぶんもう今ならドレスはずり落ちないのでは...という私ですが、来週土曜日はまたまたオーチャードホールに、今度は今年最初の第九で舞い戻ります!

 

はー。

もう「ゼッダダイエット」は出来ないんだなあ.......。

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思えばムチムチだった一歳の息子も、ゼッダに触れられたあと、少し痩せたかも?!?笑

6年越しの再会はちょっと疲れ気味な88歳と7歳でした。

https://www.instagram.com/p/BNfmHKNBVnm/

88&7

また来てねー、マエストロ!! 

アルベルト・ゼッダ スペシャルコンサート、オーケストラ合わせ!

お題「Wii U」

絶対ですよ。吸われてます。 

稽古が無かった日は稽古以外で歌おうが動こうが体重は停滞、または増加。

 

しかし、昨日オーケストラ合わせがあり、マエストロ・ゼッダに再会したとたん、けっこう食べたのにまたぐっと減量...。

母に話したら「そういう段取りなんや」と言われましたが...段取り??(たぶんバイオリズムのこと)。

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もう、自ら吸い取られに行ってみました(笑)

(光岡暁恵さんと、グレーで揃ってみた!)

目標体重まであと1.1キロなんですけど、明日の本番までで吸い取り尽くしてもらえるかな?

足りなかったらこれも行かなきゃかな??

アルベルト・ゼッダ 声楽公開レッスン | 昭和音楽大学

 

えー、ダイエットはさておき。

そんなわけで、昨日、今日は、明日の本番に向けてオーケストラとの合わせ。

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私たちは二演目中、カンタータ《テーティとペレーオの結婚》組。

「歌モノといえば」の東京フィルハーモニー交響楽団さんは流石の安定感ですが、やはり演目が珍しすぎて、昨日のスタートは安全運転ぎみ。

しかし、いつもより時間長め、繰り返しちょい多めの稽古(私なんか一回出したらキャリア終了しそうな高音を軽々何度も出しまくるソプラノのお二人、佐藤美枝子さんと光岡暁恵さんに口あんぐり...)で、珍しさを忘れる心地よさに!(ロッシーニの他の作品の転用だから、とか突っ込まないでね!!)。

 

歌手との稽古期間中も数々の名言を下さったロッシーニの神様、マエストロ・ゼッダですが、オーケストラ合わせでもやはりその表現力、役者力は炸裂していました。

 

ひとつご紹介しますと、とある部分でマエストロがオーケストラに伝えたイメージが、

「パーティに紛れ込んだハエ」

聴きに来てくださる方には、ぜひどの部分かを当てて欲しい〜。

 

あと何度も繰り返されていた

Solenne! Solenne!!

という言葉。

荘厳」という意味。確かに内容は最高神が祝福する女神と英雄の結婚ですから、まごう事なき荘厳さ。

でももし内容を全く知らなければ、軽快さとエスプリが勝ってしまうかも。

マエストロが口を酸っぱくして「お前たちは女神だ」と讃えて(違う?)くれたのも、そういうわけで。

荘厳美麗

がこの作品のあるべき姿なんだな、きっと!

まさにベルカント(本来の意味の方)。

おちゃめな部分ばかり感じてしまわないようにしよう!!(笑)

 

さて、今日もこれからオーケストラ合わせ。

何キロ痩せるかな(違う?)。

 

客席にもゼッダ氏の吸引力が届くかもしれません!

年末前に少しダイエットをお考えの方もぜひ、12/1(木)19時、オーチャードホールにお越しください!!!