mezzosoprano 鳥木弥生blog

オペラ歌手(メゾソプラノ)鳥木弥生の日常、演奏会情報など。

虎だ!虎だ!おまえは虎になるのだ!

特別お題「青春の一冊」 with P D MAGAZINE
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

青春時代。

が、いつだったか分からない人生を歩んでますが...。

読書というものに非常に熱中したのは小学4年生くらいから、大学生くらいまでかな。

あとは、イタリアに住んでいるときも日本語に飢えていて、よく本を読みました。

長い読書人生。

シャーロック・ホームズが大好きだったこともあるし。

人並みに?一瞬太宰治にハマりかけたけどすぐ三島由紀夫に移行したり。

人並みでいうと、ダニエル・キイス村上春樹浅田次郎も。

ヘッセとマンにのめり込んだ時期も割と長く。

清水義範パスティーシュも好きだったなー。

読んだ冊数が多いジャンルは母の影響で推理小説かも。夭折の女性作家、仁木悦子とか。

イタリアにいたときにはパウロ・コエーリョに、ガルシア=マルケスとか、なんかラテン系に。

まだまだ好きな作家もたくさん。

(嫌いな作家の方が多いかもしれないけど。笑)

一冊選ぶとなると......。

これかな。

山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫)

山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫)


元々は確か高校の教科書に山月記が載っていて。なんて素敵なんだろうと思って単行本を買って、他の作品にもときめいて(笑)。

こんなに素晴らしい作品を生み出したのに、名声を得ないまま33歳で亡くなったこととか...。

全てにドキドキ。


やはり一番は「山月記」。

(”キャットピープル”も”闇のパープル・アイ”も山月記のパクリだと思ってます)。

自分が寅年生まれだから、ていうのもあるかもしれないんですが、それからかなり長い間「虎」が私のハートの大きめな部分を占めていました。

というか、干支なんか知らない幼稚園児の時から「タイガーマスク」も大好きだったな。よくアニメのテーマソングを歌ってた。プロレスは嫌いだけど三沢さんはかっこいいと思ってた!

(ブログタイトルはアニメ「タイガーマスク」オープニング曲のセリフですが、エンディング曲「みなしごのバラード」も名曲......泣けます。)

関西に生まれていたらきっといつも虎柄の服を着ているか、タイガースファンだったことでしょう(ファンじゃないけど六甲おろしは暗譜で歌える!)。

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あ、これは...虎?(笑)

昼下がりのサロンコンサート〜Douce France 歌姫たちの優しきフランス〜 byブリーズノート 終演! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

何が先なのかな??それとも、人は皆虎が好きなものなの??(オブラスツォワ師匠も虎好きでした)。

ともかく。

私がどれくらい「山月記」、そして「虎」に心奪われたかというと。

まずは、授業で山月記を平易な現代文にして提出しろ、という宿題を出されたときに、

このままで完璧。このままが一番分かり易い。何をか言わんや。

と主張して、そのまま写して提出したり。

(現在のカタカナ用語で言うところのリスペクトですね)。

で、このままが良い、とか言いながらこっそり山月記を漫画化したり。(もちろん李徴も袁傪も超イケメン。笑).....

あと、期末テストかなんかで、成績が悪い我が芸術クラスの赤点救済のために先生が提案した、裏に将来の夢を書きなさいという課題に対し...。

ある小国の将軍になった私。「生類憐みの令」を発布し、寅年生まれなので虎を大切にさせる。失脚後、虎を愛するあまり密林の虎たちの聖地で暮らし始めるが、冬のある日、愛する虎たちに跡形もなく食われてしまう。(以上、あらすじ)。

という「」(笑)を綴りまして...。

なにしろ芸術クラス(音楽と美術)でしたので、他にもトチ狂った「夢」が続出していたようです。私もこれで普通でしたから!!

今思い出して恥ずかしいながらも「自分が虎になる」っていうナルシズムは無かったことにホッとしています。

「自尊心が高いひとを批判しつつ惹かれもする。なりたくはないけどとても尊重したい」

袁傪の気持ちなのかな。

(高声部をたてる低声部の気持ちとも見事にマッチ!笑)

その後も「山月記」は折に触れ読みたくなり、色んなとこで買ってしまうので、たぶんカルメンのスコア並みに何冊も持っております。

《カルメン》最終リハーサル! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

しかし、実はひとつ気にいらないのは、「山月記」との出会いが学校の教科書だったこと。日本語も日本文学も大好きなんですが、国語(特に現国)の授業ほど嫌いなものは無かったので...。

国語入試問題必勝法 (講談社文庫)

国語入試問題必勝法 (講談社文庫)

私と同じように国語の授業がバカらしいと思っている方でまだこれを読んでいなければぜひ!


何故「山月記」が教科書に載ったのかなあ?教科書向きかなあ??まあ、長さがちょうど良いし、漢詩も入っていて漢文との繋ぎ??

お?こんな本が!!

「山月記」はなぜ国民教材となったのか

「山月記」はなぜ国民教材となったのか


面白いかな?読みたい!!

けど、来月末まで日本に帰れない。

Kindle版...は、ない。

誰かサバデイまで、とは言わないけど、バルセロナまで持ってきてくれないかな......。

邂逅。〜サバデイ日記9

昨晩は衣装、オーケストラつき舞台稽古。

1幕だけ返しながら24時まで...。
全然歌ってはないけど疲れたー。
蝶々さん、さぞお疲れだろうな(スズキの心)。
あと、ボンゾさんも!
今回のボンゾさん、第三の東洋人キャスト、キム・シンホさんですが、昨日繰り返し繰り返し、登場シーンを何度も聴かせていただき...。
ウワーッと出てきてウギャーッて何言ってるかわかんないまま去っていく、みたいな場合も多く見られ、意外と難しいんだろうなあ〜、と、低音同士としての思いやりが生まれたりするボンゾ役ですが(笑)。
シンホさんボンゾはなんだか落ち着いてるし、何言ってるかはっきり分かるし、何回やっても声抜かないでバッチリいい声だし。
別に難しくなさそう(逆に損?)。見た目も迫力あるし。
芸者登場シーンと並ぶ、1幕の見所のひとつですねえ〜。



ここ、ファランドゥラ劇場はオペラ劇場にしては、オーチャードか(笑)、てくらい裏が狭く...。楽屋もこじんまり。
でも懐かしくて嬉しい!!

メイクさん、衣装さんも皆、懐かしい面々で、再会を喜びました。
メイクさんの手元にはこんな懐かしい写真も!


自分の顔も懐かしいのですが、着ているシャツが確かアウトレットで買ったBrioniのシャツ!この時スカートも買って、もしかしたらジャケットも??今これらはどこにあるんだろう...なんて、脱線思考。

日本ではない場所での《蝶々夫人》の公演。
ファンタジーな感じが好きだと前にも書きましたが。

やはり着物の着付けなどはたまにすごいことになっていて。
さすがに左前で着てる人がいるとちょっと気になる(笑)。動きにくそうだし。

だからといって、例えば演出が本当に日本を離れてファンタジーになっちゃうと、それも寂しい...というか、日本を離れるとだいたいアジアの他の国に近付くんですよね。だったらやっぱりある程度日本を目指して欲しいかな、と。加減が難しいですね。

でも(?)、私はなんだか本当にここが大好きで。

また戻ってきたいなあ、と、思うのです。
まだ初日も迎えてないのに寂しくならなくても良いのですけど。

8年前はどんな風に思いながらここで過ごしていたのかなあ?
このアパートに、前回はダブルキャストで蝶々さんを歌っていた佐藤康子さんとお向かいさんで暮らしていて...。

あ!そう、その、康子さんが暮らしていたお部屋に今回シャープレス役のマヌエルくんが住んでいて、昨日、部屋でこれを見つけた!と、くれたんですよ!!!

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前回のプログラム!!!!!

いったいどういうことでしょう??
8年間触れられていなかった場所が???

実は今いるこの部屋の洗濯機の中には、私が到着したとき、ポツンとひとつ、男性用下着(パンツ)が残っていたりもしたんですけどね(笑)。
幸い洗われた後で...。防犯用かとも思いましたが。
お掃除のお姉ちゃん、気の良い方ですが、うっかりさんみたいですねー。
まあ、細かいことは気にしません。A型だけど。

さてさて、そしてさらに、昨晩発覚した、これぞ邂逅という出来事。
24時に稽古が終了してから”ベルリン”に移動した私たち。


ビールを飲みながら自分たちが今までに受けたマスタークラスでの大歌手たちの教えぶりの話に。
みんなモノマネが上手い!(笑)

中でも特にモノマネ上手なピンカートン役の急な交代でペルーからやってきた(マドリード在住だけど帰省してた)、アンドレスくん。
実は私と同じ時にローマ、サンタチェチーリアのオペラスタジオにいたことが分かり!!
なんか見たことあると思ってたけど、某日本人テノールさんに似てるからそのせいかな、と思ってたんですよねえ〜。

実に11年ぶりの邂逅......。


懐かしさに彩られ、ベルリンの夜は更けていくのでした......。
次は道向こうの”マンハッタン”にも行ってみなきゃ。

今日もまた夜中まで、2、3幕の稽古です。


オーケストラ合わせ!〜サバデイ日記8


結局ちょっとだけお情けで10時半スタートだったんですけど。

よく響くホールだったので声がまだ寝てるのが気にならなくて(自分では。笑)良かったです。

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さて、この休んでばっかりの人は誰でしょう?
(書いてあるけど)。

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こんな怖い顔に見下ろされながら...。

オーケストラのメンバーも8年ぶりの方もいれば、初めましての方も。
ホルンに女性奏者がいるのが、もとホルン吹きメゾソプラノとしてはなんか嬉しかったり!

指揮のヒメノ氏は、元々このオーケストラの首席指揮者。
オペラはあまりやらないのだけど、この《蝶々夫人》はぜひやりたいと、たってのご希望だったとのこと。

実はピアノ稽古の最中は「ぜひやりたかった?それにしては......」みたいな...よく言えば冷静な、やる気なさそうな?具合だったんですが(失礼...)、オーケストラになったとたん豹変してます。
振り方も全然違うのには慣れなきゃですが。
かなり厳しくビシビシ言ってもオケの雰囲気が落ち着いているのは、普段から馴染んでいるからなんでしょう。
歌手には優しいです(笑)。

あ、ひとつオブラスツォワ先生が教えてくれた小話を思い出しました。

とあるオペラのとあるアリアをオーケストラとソプラノが合わせはじめます。
一回通したところで指揮者が膨大な指示をだします。
「弦の皆さんはここからここまで、ダイナミックスを楽譜に書いてあるのとは逆に!」
「ホルン、聞こえないくらいピアノで!」
「ハープのソロは倍の速度で!」
「ここに、楽譜には書いてない3小節程度の休みが入るのでクラリネットは吹かないで待って!」
「練習番号10番と11番は丸ごと入れ替えになりますので!」
「ここに違う曲からの挿入があるので急いで楽譜を!」
こんなに大幅な変更があるなんて!!と驚いたソプラノが、
「マエストロ、私はどうしたら...!?」
と訊ねると指揮者がひとこと、
あなたはさっき歌った通りでいいのですよ

まあ、どうせ、歌手たちなんて音楽家じゃないですからねー。


マエストロ・ヒメノが休憩中のカフェで、私たちが(歌手なりに)真面目に音楽の話をしているのに、急にiPhoneを取り出し、「この間、僕、スカイダイビングしたんだ〜」って、動画を見せてくれたのも、私たちとはお話が合わなかったからですよねー......。

ともかく、ただのハンサム(笑)かと思ったら、ちゃんとマエストロで、良かったです(やっぱり失礼)。

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余談ですが、ヒメノ氏、「デスパレートな妻たち」のマイクに似てませんでしょうか?


(全巻セット、欲しい...)

さらに余談ですが私はマイク(夫妻)よりカルロス(夫妻)が好きなんですが、カルロスに似たひとはスペインにはいっぱいいすぎて困ります(笑)。

余談終わり。

丁寧な合わせ3時間で今日は1幕のみ。スズキさんは三言くらいしか発しませんでした。
今日これからは長い昼休みのあと18時から23時の稽古。
昼寝をするか、バーゲンに行くか迷い中。


で、明日もまた朝がオケ合わせ。2〜3幕かな。明日は歌わないといけないな(笑)。

斜め下の住人に負けないように朝から発声練習でもしなきゃかな......。

ちょっとした鉄分、と、長い独り言。〜サバデイ日記7

サバデイ・ランブラ駅を出て、バルセロナの中心へ。

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8年ぶりの懐かしい電車に揺られながら、あんまり懐かしさを思い出さないように...。

外見よ。うーん、いい天気!!

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なぜ、あんまり記憶を呼び覚まさないようにしているかというと......

この、サバデイとバルセロナ中心部を繋ぐS2ライン、車両も綺麗だし座席も座り心地良く、案内も整っていて分かりやすい。

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言うことなしなんですが、ただひとつ、よーく揺れるんです。

8年ぶりに乗りましたが、やはり揺れる〜〜!

車体が良いせいか、地元の七尾線みたいにガタガタ揺れるのではなく、滑らかに、ぐーらぐーら。

これがね、絶妙に酔わせるんですよ、私を......

8年前こちらに滞在した時はご存知の通り?妊娠2〜3ヶ月だった私。やはりサバデイから乗車して約40分。電車がバルセロナに着くまではなんとか堪えたんですが、着いたとたん駅員さんに連れられて洗面所へ。

ツワリはその頃から出産直前までずーっと辛かったのですが、いつも気持ち悪くなりすぎないように気をつけていたので、私があんなに妊婦のツワリらしい姿(笑)を見せたのはあの、バルセロナ、プラサ・カタルーニャ駅でのひと幕が最初で最後だったように思います。

迎えに来てくれていた私の蝶々さん、三記さんにもご迷惑をかけ.....。

その時のことを思い出すと今も少し吐き気が蘇るような......。

外見よ!眩しい!!

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そんなこんなで、幸い今日は少々の酔いで無事到着!


さてさて、本日稽古はお休みですが、稽古がある日でも、普段日本にいる時よりは格段に一人の時間を長くいただけている今の母ちゃん。

お題「ひとりの時間の過ごし方」

今日も短い電車の一人旅を満喫しましたが、まず、日本からの飛行機の中でも13時間ひとりで寝る以外に何をしようかウキウキでした。

まあ、とはいえ何か特殊な楽しみ方があるわけではなく、席の個人モニターにスペイン語を学べるゲームがあったのでそれをやったり。映画を観たり。

【偉大なるマルグリット】あらすじと“映画を見る前に知っておきたいこと”

何本か観ましたが、このフランス映画が面白かったです!!せっかくなのでいきなりレビュー!(笑)

有閑マダムの男爵夫人がいきなりオペラ歌手になると言いはじめ、周りが気を使って褒め称えるのを信じて演奏活動を続け、様々なオペラのヒロインになりきった写真を撮り...。

(各紹介記事では「絶望的な音痴」と表現していますが、それほどでもない。もっと絶望すべき音痴はいくらでもいる。笑)

私が一番笑ったのは、彼女が本当は歌が下手であることを誰も本人に言えない中、彼女を指導するテノール歌手が、彼女が歌うカルメンの”ハバネラ”を聴いたあと、

今まで誰も君に言わなかった真実を言おうか...?

と語り始め、本当に真実を告げるのか??と、かなり気を持たせたあげく、

君はコロラトゥーラ・ソプラノではなく、メゾソプラノだ!

と言うシーン。

確かにメゾソプラノならそれくらいの歌唱力でもいけるんじゃない?なんて、自虐的に面白かったんですけどね。私も実はこんな感じなんじゃないかな、みたいな.....!?

声や音程はともかく、フランス語の発音(当たり前ですが)とか表現はかなりいい感じのハバネラだったし!(笑)

その後、彼女に起こる一瞬の奇跡も感動的だったし、ラストも良かった。素敵な映画でした。


サバデイについてからの自由時間は、譜読みと読書を楽しみに準備してきました。完全にインドア派の母ちゃんです。

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《I Capuleti e i Montecchi(カプレーティ家とモンテッキ家》は、9月の公演に向けて......実はこれ以外にもいつか歌いたいけど普段は譜読みする余裕が無いような楽譜をたくさん運んできてしまったのですが......とりあえず10日経った今も開いておらず!!夏休みの宿題を田舎のおばあちゃんちに持ってきた小学生が全部白いまま帰るみたいな......いやいや、まだ1ヶ月以上ある!!!

読書の方はまず前にも読んだ「ビリチスの歌」をじっくり読み直し中。

これは、昨年夏にこのコンサートでも歌った...↓

昼下がりのサロンコンサート〜Douce France 歌姫たちの優しきフランス〜 byブリーズノート 終演! - mezzosoprano 鳥木弥生blog

ドビュッシーの歌曲《3つのビリティスの歌》の原詩が含まれる作品。

(しかしこのコンサートのプログラム、お客様がついてきてくれたのが奇跡だったなあ〜。またやりたいよ、佳子ちゃん。笑)

オペラ歌手に文学。 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

(こちらでもご紹介しました!)

私が読書をしていると、師匠オブラスツォワによく「本を読む暇があったら楽譜を読め!」と言われたなあ。

歌のお勉強。「音楽の天使たち」 - mezzosoprano 鳥木弥生blog

スペインでもとても人気があったオブラスツォワ。

人々の口に上ることもよくあるし、私が初めてスペインに来たのも彼女に連れられてだったし。日々、思い出させていただいてます...。

更に、こんな発見が!!

「楽譜を読みなさい」って、天国からのメッセージかな?

オブラスツォワもかなりの読書家で、詩を書いたりもしてたけどね。

会いたいなあ〜。

......とりとめなく、終わります。

《蝶々夫人》ピアノ・ヘネラルの朝〜サバデイ日記6

初日10日前!

稽古予定に「GENERAL」とあって、え?もう??と、ちょっと焦りましたが。
ピアノによるジェネラーレ(こちらではヘネラル。なんか可愛い。笑)、まあ「通し稽古」ですね。

これで、明日一日お休みで火曜からはオーケストラが入り、GPまで6回の稽古。
オーケストラ付きで6回稽古というのは、日本の状況と比べるとなかなか贅沢。
むしろやり過ぎなのでは?という気までしてきます(笑)。

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こちら、合唱の方々が使っている扇子。スペイン風のアバニコと混在。

その他、諸々スペイン風なところがある今回の《蝶々夫人》ですが(笑)、元々ヨーロッパから見たファンタジーとしての日本が舞台のお話だと思うし、私はぎっちりかっちり和風よりむしろ正しいんじゃないかなあ、なんて思います。

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芸者役のスペイン女性たち、後ろの方にチラ見せ。魅力的ですよ!

歌詞がちょっとスペイン語訛りなのは許容範囲なのかどうか分かりませんが!?


しかし、日本語訛りや英語訛りよりは聞き取りやすいのは確かです(笑)

私以外、唯一の日本女性、蝶々さん役の三記さんもバルセロナ在住で、流暢すぎるほどのスペイン語を話します。

ペネロペ・クルスみたいで羨ましいです(笑)。

後ろ姿もどこか日本人離れ(ペネロペ・クルス寄り?)していると思うのは気のせいでしょうか?

8年前もご一緒して、その女優っぷりが衝撃的でしたが、昨日の稽古の時に「最近は毎回同じようにやる努力をしている」とおっしゃっていて、ブンブンに振り回されるのが快感だったスズキとしてはちょっと寂しくなりました。

でもたぶん嘘だから大丈夫(笑)。


オペラ歌手としてあるべき演技、持つべき演技力については、けっこういつも考えてしまうんですが......


いい役者の方のそばに寄ると、わーっ、と、その世界に包まれるのを感じます。
そばにいると自分まで上手くなったような気がして(笑)、離れたとたん支えがなくなったようでアワアワしたり!

あんまり書くとご本人が恥ずかしがり屋さんで、怒られちゃいますが(読まないでー)、三記さんはその「わーっ」と出てるものが、特に柔らかくて、周囲と呼応して、常に交換が行われている気がします。
自分が絶対こうやりたい、とかではなく、キャラクターは確立しているけど、あとはその時の舞台の空気の中で、その都度あるべきところにある、みたいな。
だから毎回違うとはいえ、行き当たりばったりではなく、ものすごく冷静。
本人は「何にも考えてない」と言うでしょうが、本当に、考えているわけではないんでしょうねえ(笑)。自然にそうなるんでしょう。

あ、なんか演技、演技、書いてますが、歌は当然良いのです。声も素晴らしい。いい声で余裕があるから演技も自然なのか、演技力があるから歌も上手いのか、ニワトリが先か、卵が先か、みたいな話かな?違うかな?(笑)

なかなか見習うのは難しいですが、「考えちゃう私」として、彼女を遠くから見たときに分析して(たぶん本当に怒られちゃいますが。笑)、これは言えるかな、という3点を。

1.どこか見てるようで、どこも見てないけど、実は全部見えてる目。耳もしかり。

2.やりはじめたことは必ずやり遂げる。

3.肩甲骨が柔らかくて、背中が綺麗。


特に3が、私には難しい!人に後ろを見せたくない(笑)。
前から見たら一応スズキでも、後ろ向くとトリキに戻ってるなあー、と我ながら思うことが多々。
結局いつも衣装(と演出家の采配)などに助けていただいてなんとか...というパターンかも...。

しかし、前向きに!!(あれ?後ろ向きを頑張る話だっけ)。

この後もまだまだスズキを演じる機会があるし、今回の10公演の間にひと皮むける気マンマンなスズキ(トリキ)母ちゃんです。


劇場入り!〜サバデイ日記5

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日劇場入りし、合唱団とも顔合わせ。
8年前からいたメンバーには「おかえり〜」と言っていただき、やはり前回もご一緒した合唱指揮のダニエル氏は都会ですごく出世したらしいのですが(笑)こちらでは変わらずこの大事な役目を担ってくれているそうで。
さすが、美しい合唱です。
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今日は劇場での稽古2日目。
なんと稽古開始は21時!(日本なら稽古終了の時間)。
事情により交代したピンカートン役のテノール、アンドレス・ヴェラメンディさんがペルーから到着し、キャストも揃いました。


昨日、今日と1幕の合唱団が出るをみっちりと稽古。
昨日待つだけ待って登場シーンまで行き着かず黙ったまま帰ったボンゾ役のシンホ・キムさんも今日は迫力ある「Cio-cio-saaaaan」を劇場に響かせていました。

幸せな結婚式から一転、ボンゾが現れ、蝶々さんの改宗をみんなから責められるこの場面。

思い出すのは、今から軽く10年以上前、イタリアの野外公演を観に行った時のこと。
歌い手の友人たちと一緒で、素人は初めて《蝶々夫人》を観る現在の私の夫のみ。
このシーンで合唱によって繰り返される、
”Hou! Cio-cio-san!”
という叱責の叫びを、私たちは彼に、

「あれは今からアメリカ人と初夜を迎える蝶々さんを”ひゅーひゅー!蝶々さあ〜〜ん!”と、ひやかしてるんだよ」

と教え...。
なんだか他にも色々嘘を教え込んだような。まだ何か効いてるやつがあったりして(笑)。
ちなみに夫は一般的イタリア人よりイタリア語がペラペラですが、オペラは母国語でも歌詞を知らなければ断片的にしか聴き取れない場合が多いので、簡単に騙せました。

さて、現在、我々の蝶々さん。稽古場が変われば休憩時間の溜まり場も変わり、前から目をつけていた、美味しそうなおやつが並ぶカフェへ。
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(ウィンドウの向こうにいるのはシャープレスくん。ダイエット中らしいです。笑)

昨日は夜(21時)稽古の前にみんなで食事に行こう、となり、連れて行かれたのはうどんやさん。
その名もUDONって、これなんか聞いたことあるな、と思ったら、商標問題で話題になっていた店でした。

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お店の名前が「うどん」にしてはうどんメニューは少なく(笑)、私は辛いものが食べたかったのでカレー焼きそばを...。めっちゃUFOな感じでした。美味しくいただきましたよ(笑)。
私の向かい、ピアニストのアンドレアが食べてる天ぷらはすごく美味しかったです。

そして、同行者の方が、日本でそんな話題になっているんだよ、とお店の方に話すと、可愛らしいお姉さんにすごく悲しそうな顔をされてしまいましたが......。


まあ、色んな意見はあると思われますが、世の中やったもん勝ち、みたいなのは嫌ですねえ。
私はやはり何語でも言葉を大切にしたい気持ちが強くあるので、商標を取るならせめて、その言葉を正しく表すことに使ってほしいなあ、と思います。

たとえば、日本のカフェなどで、商品名がパニーノの複数形「パニーニ」だった場合......。
私はどうしても一個だけを注文することができず、別にいらないのに二つ注文してしまいます。
それくらい、変なこと言うのが嫌なんです!!!
だからと言って「パニーノ」と注文したら絶対、
パニー二ですね?
って言われるし。

あと、スパゲッティをパスタって言うのもやめてほしい。
「パスタの種類は何ですか?スパゲッティですか?」って聞いたら、
あ、こいつ、パスタを今時スパゲッティとか言って、ダサ!
みたいな顔で、
パスタです
って言い返されたときの苛立ちといったら!

話がずれましたが(笑)。
バルセロナUDONは、商標うんぬんより、まずあのメニューでなぜUDONなのかが気になる...。
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はい、ラーメンがメイン(笑)。

麺類という意味で日本語を使うなら、まだSOBAが相応しいような。
そしたらメインも中華そばで文句なし。
ソバ、を「麺類全般」という意味で使うことありますよね。
うどん、も麺類という意味で使う地方とかあるのかな?知らないだけだったらごめんなさいですが.......。

まあ、とにかく、次回あのお店に行ったらご飯ものか天ぷらを食べたいと思います。

あ、言葉を大事に、とか言いつつ、タイトルから離れた食べ物話ばかりになりました.....。
反省!!!

さて、明日の朝は何を食べようかな(笑)。




《蝶々夫人》衣装合わせ!〜サバデイ日記4


怪しい風呂敷包みの中身は着物と着付け用品、小物。

今回、スズキ役と共に、日本から着物その他を運ぶ役目も仰せつかりまして。まあ、自分が丈の短い着物を着たくなかった、ていうのがまずあるんですけど(笑)。
これで自分で着付けもできたら完璧なんですが......習得が間に合わなかった〜!

しかし、スペインといえど、さすが衣装のプロ。
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マノリータさん、過去の記憶を呼び覚ましながら着付けて下さいました。
日本ではたぶんありえない、可愛い着物のスズキ!お着替えもあります。

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劇場の衣装部屋は、私がこの世で一番ワクワクする場所のひとつです。

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1幕、結婚式の蝶々さんの帯の結び方にこだわる演出のカルレス。
その解説動画、ドイツ語ですけど、分かってるんですか...??
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蝶々さん、お疲れです!!(笑)

蝶々さんを演じるバルセロナ在住のソプラノ、森三記さん(昨日は顔出しNG。笑)。

彼女の凄さは8年前から現在もじっくり分析中!
近いうちに研究の途中経過を発表できたらと思いますが...。
もし、直接ご覧になれる方がいらっしゃいましたら、ぜひ!
一見、一聴、そして大泣きの価値ありです。


さてさて、稽古場のドアに貼ってあるこちらが今回の《蝶々夫人》のチラシ。
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日の丸!舞妓!!日本!!!

ところで、実はこの街には私たちの舞台よりも更に日本文化に溢れている場所がありまして......。

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私が滞在しているアパートのすぐそばにあるマンガやさん。
今回はまだ中には入っていませんが。
スペイン語忘れないために何かマンガ買って帰ろうかなあ〜。
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アパートにマグカップがないのでこの下から三番目の右から二番目を買おうかとも思ったり.....。アラレちゃんのアレです。

アップ撮影は、お食事中の方がいらっしゃるとあれなんで控えましたが(笑)、母ちゃんがいない間に小学生男子になった息子が大喜びしそうだなあ〜(笑)。